デジタル大辞泉 「貲布」の意味・読み・例文・類語 さいみ【貲=布/細=布】 《「さよみ」の音変化》織り目の粗い麻布。夏衣や蚊帳かやなどに用いた。「財宝豊かなりけれども、衣裳には―の直垂ひたたれ」〈太平記・三五〉 さ‐よみ【貲=布】 シナノキの皮を細く紡いで織った布。古くは調として上納された。後世は、粗く織った麻布をさしていう。さいみ。さゆみ。《季 夏》 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例 Sponserd by
精選版 日本国語大辞典 「貲布」の意味・読み・例文・類語 さ‐よみ【貲布・細貲・布】 〘 名詞 〙 ( 「狭読(さよみ)」の意。「よみ」は糸を数える意。経(たていと)の少ないのをいう ) 奈良時代、科木(しなのき)の皮の繊維で細かく織った布、または細い麻糸で織った布。古代、調布として貢物(みつぎもの)にされ、中世まで、民間でも用いられた。後世は、広く麻布をさしていう。近江国の産が名高い。さゆみ。さいみ。しなぬの。さよみのぬの。《 季語・夏 》 〔延喜式(927)〕貲布の補助注記中世以降、「さよみ」の変化した「さいみ」の語形も見え、帷子(かたびら)に使われたり〔日葡辞書〕、近世には豆腐や酒のこし袋、夏ののれん、風呂敷、下僕の夏衣などに使われたり〔随・守貞漫稿‐三〇〕したところから、後世は古代と違ってかなり目の粗い麻布を指すようになったと思われる。 さいみ【貲布・細布・布】 〘 名詞 〙 ( 「さよみ」の変化した語 ) 麻織物の一つ。経(たていと)緯(よこいと)ともに大麻の太糸で目をあらく平織りにした布。武家の奴僕の夏衣や蚊帳・袋物などに用いる。《 季語・夏 》 〔観智院本名義抄(1241)〕[初出の実例]「財宝豊かなりけれ共、衣裳には細布(サイミ)の直垂」(出典:太平記(14C後)三五) さ‐ゆみ【貲布】 〘 名詞 〙 =さよみ(貲布)[初出の実例]「いかなれば恋にむさるるたく布のなほさゆみなる人の心ぞ〈源仲正〉」(出典:夫木和歌抄(1310頃)三三) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例 Sponserd by