組織学の一領域で、組織内の特定の生体物質の分布局在を研究する学問をいう。組織化学には、物質の分布を構造と関係づけて観察できる利点があり、また顕微測光法などを用いることによって定量的研究も可能である。古くからの方法としては、中性多糖類を過ヨウ素酸で処理後シッフの試薬で発色させる方法、デオキシリボ核酸(DNA)を酸加水分解後シッフの試薬で発色させる方法(フォイルゲン反応)、酸性ムコ多糖をアルシアンブルーやトルイジンブルーで染色する方法などがおもである。酵素の不活性化を最小限にする方法で固定された組織の切片を基質とともに保温し、分解産物を切片上に沈殿させ可視的にすることによって、いくつかの酵素は検出可能である。精製された生体物質に対する抗体が利用可能なときは、蛍光抗体法、酵素(ペルオキシダーゼ)抗体法、免疫電顕法などの免疫組織化学的方法が鋭敏かつ有効である。さらに特定の生体物質に取り込まれるアイソトープがあるときには、オートラジオグラフィーによってその局在性を知り、また合成速度を推定することが可能である。
[八杉貞雄]
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