緑内障治療点眼剤(読み)リョクナイショウチリョウテンガンザイ

病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 「緑内障治療点眼剤」の解説

緑内障治療点眼剤

製品名
《イソプロピルウノプロストン製剤》
イソプロピルウノプロストン(武田テバファーマ、テイカ製薬、ニッテン、日本点眼薬研究所、わかもと製薬、沢井製薬)
レスキュラ(アールテック・ウエノ、参天製薬)
《ジピベフリン塩酸塩製剤》
ピバレフリン(参天製薬)
《ドルゾラミド塩酸塩製剤》
トルソプト(参天製薬)
《ブナゾシン塩酸塩製剤》
デタントール(参天製薬)
《ジスチグミン臭化物製剤》
ウブレチド(鳥居薬品)
《タフルプロスト製剤》
タプロス(参天製薬)
タプロスミニ(参天製薬)
《タフルプロスト・チモロールマレイン酸塩製剤》
タプコム(参天製薬)
《トラボプロスト製剤》
トラバタンズ(日本アルコン)
《トラボプロスト・チモロールマレイン酸塩製剤》
デュオトラバ(日本アルコン)
《ドルゾラミド塩酸塩・チモロールマレイン酸塩配合製剤》
コソプト(参天製薬、MSD
《ビマトプロスト製剤》
ルミガン(千寿製薬、武田薬品工業)
《ピロカルピン塩酸塩製剤》
アドソルボカルピン(日本点眼薬研究所)
サンピロ(参天製薬)
《ブリンゾラミド製剤》
エイゾプト(日本アルコン)
《ラタノプロスト製剤》
キサラタン(ファイザー
ラタノプロスト(武田テバファーマ、武田テバ薬品、千寿製薬、武田薬品工業、日東メディック、日本ジェネリック、杏林製薬、キョーリンリメディオ、わかもと製薬、ニプロ、長生堂製薬、日新製薬、共和薬品工業、キッセイ薬品工業、沢井製薬、高田製薬、東和薬品、日本点眼薬研究所、科研製薬、三和化学研究所、日医工、東亜薬品、あすか製薬、コーアバイオテックベイ、アルフレッサファーマ、テイカ製薬、コーアイセイ、ニッテン、興和創薬、日本ケミファ、サンド)
ラタノプロストPF(日本点眼研究所)
《ラタノプロスト・チモロールマレイン酸塩製剤》
ザラカム(ファイザー)
《ブリモニジン酒石酸塩製剤》
アイファガン(千寿製薬、武田薬品工業)
《ブリンゾラミド・チモロールマレイン酸塩製剤》
アゾルガ(日本アルコン)
《リパスジル塩酸塩水和物製剤》
グラナテック(興和、興和創薬)

 緑内障の治療に使用される点眼剤です。トラボプロスト製剤及びラタノプロスト製剤タフルプロスト製剤は、緑内障や高眼圧に用いられます。またビマトプロスト製剤は、緑内障・高眼圧症治療におけるプロスタマイド誘導体の新作用機序のため、従来のプロスタグランジン製剤で効果のない症例にも効果が期待されます。


 ジスチグミン臭化物製剤は、緑内障調節性内斜視眼筋型の重症筋無力症などに用いられます。ジピベフリン塩酸塩製剤は、開放隅角緑内障高眼圧症の治療に用いられます。


 ブナゾシン塩酸塩製剤は、交感神経αアルファ1受容体遮断しゃだん作用によって房水の流出を促し、眼圧を下げます。ドルゾラミド塩酸塩製剤ブリンゾラミド製剤と同様に、ほかの薬で効果が不十分な緑内障や高眼圧症の治療に用いられます。ザラカムは、プロスタグランジン系製剤のラタノプロストとβベータ遮断剤であるチモロールマレイン酸塩の配合剤です。単剤での治療で目標眼圧を達成しない場合に、異なる作用の薬との併用治療が選択されています。使用薬を減らして治療効率を高めた薬で、緑内障、高眼圧症に用います。


 ドルゾラミド塩酸塩チモロールマレイン酸塩配合製剤は、炭酸脱水酵素阻害剤であるドルゾラミド塩酸塩とβ遮断剤であるチモロールマレイン酸塩製剤の配合製剤で、緑内障高眼圧症の治療剤ですが、ほかの緑内障治療剤が効果不十分な場合に用いられます。


 トラボプロスト・チモロールマレイン酸塩配合製剤は、ぶどう膜流出経路からの房水促進作用をもつトラボプロストと、β遮断作用による房水産生の抑制作用をもつチモロールマレイン酸塩の配合製剤で、緑内障高眼圧症に用いる点眼剤です。この薬は2種配合によって効力増強と使用効率の向上を図ったもので、防腐剤のベンザルコニウム塩化物(副作用として眼充血、眼刺激、目のかゆみが現れることがあります)が含まれていません。ただし、原則として単剤での治療が優先されます。


 ブリモニジン酒石酸塩製剤はアドレナリンα2受容体作動薬で、緑内障、高眼圧症の治療に用いる点眼剤です。


 薬によっては、結膜の充血、目の痛み、かすみ目、かゆみ、異物感、刺激感、複視、視力異常、流涙、めやに、頭痛、動悸、低血圧、倦怠感けんたいかん、虹彩色素沈着、味覚異常、手足のしびれ、吐き気、角膜障害、乾燥、眼瞼色調変化、眼周囲の多毛化、羞明しゅうめい、結膜浮腫、結膜炎などが現れることがあります。


 タフルプロスト製剤では、角膜上皮障害、眼瞼浮腫、眼瞼色素沈着、めまい、検査値異常が現れることがあります。ラタノプロスト・チモロールマレイン酸塩製剤では、角膜炎、GPT上昇、眼瞼炎、眼乾燥、視力低下、頭痛、便秘、鼻炎、発疹ほっしん、高カリウム血症、睫毛まつげ変化、点状表層角膜炎、不整脈などの循環器異常、不眠・抑うつなどの精神・神経症状、口渇、下痢、せき、眼類天疱瘡、気管支けいれん・呼吸困難・呼吸不全、心・脳障害、全身性エリテマトーデスなどが現れることがあります。ビマトプロスト製剤では、睫毛の異常、眼瞼・紅彩色素沈着、角膜びらん、眼瞼の多毛症、結膜浮腫、眼瞼紅斑、くぼんだ眼、結膜出血、角膜炎、霧視むし、眼脂(目やに)、狭心症発作、高血圧、胃不快感、臨床検査値異常などが現れることがあります。ドルゾラミド塩酸塩チモロールマレイン酸塩配合製剤では、眼刺激、角膜障害(角膜びらん、角膜炎など)、眼瞼炎、眼痛、眼乾燥感、目脂(めやに)、羞明しゅうめい、眼瞼浮腫・発赤、結膜充血、頭痛、目のかすみ、失神、むくみ、四肢冷感、動悸、不整脈、低血圧、抑うつ、悪夢、不眠、浮動性めまい、下痢、吐き気、口渇、脱力感、耳鳴り、胸部圧迫感、せき、発疹、四肢のしびれ、苦味などが現れることがあります。トラボプロスト・チモロールマレイン酸塩配合製剤では、眼充血、眼刺激、虹彩炎、眼部不快感、眼瞼炎、アレルギー性結膜炎、眼瞼紅斑、眼精疲労、眼部腫脹、流涙増加、結膜炎・出血、視力低下、頭痛、浮動性めまい、高血圧・低血圧、徐脈、せき、呼吸困難、アレルギー性皮膚炎、接触性皮膚炎などが現れることがあります。ブリモニジン酒石酸塩製剤では、結膜炎、点状角膜炎、眼瞼炎、接触性皮膚炎などが現れることがあります。このような症状が現れたときは、医師に相談してください。


 また、薬によって眼瞼炎がんけんえんや結膜炎などの過敏症状が現れることがあります。そのほか、眼類天疱瘡がんるいてんぼうそう(結膜充血、角膜障害、結膜萎縮、眼球眼瞼癒着などの症状)、気管支けいれん、呼吸困難・不全、心ブロック、うっ血性心不全、脳虚血、心停止、脳血管障害、全身性エリテマトーデス、皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死症、紅彩色素沈着などが現れることがあります。このような症状が現れたときは使用を止め、必ず医師に報告してください。


①点眼剤です。1日の使用回数や1回の使用量については医師・薬剤師の指示を守り、正しく使用してください。かってに中止したり、減量・増量しないでください。


 ドルゾラミド塩酸塩チモロールマレイン酸塩配合製剤は点眼液で、1日2回点眼します。コソプトは、気管支喘息またはその既往歴のある人、気管支けいれん、重篤な慢性閉塞性肺疾患のある人、コントロール不十分な心不全、洞性徐脈、房室ブロック(Ⅰ、Ⅱ度)、心原性ショックのある人、重篤なじん障害のある人、この薬の成分に対して過敏症の既往歴のある人などには使用できません。


②あらかじめ問診の際に、持病・アレルギーなどの体質・現在使用中の薬の有無、母乳で授乳中であるかなどを、医師に報告してください。


 とくに、高血圧症、動脈硬化症、心臓病、糖尿病、甲状腺機能亢進症こうじょうせんきのうこうしんしょう、肝障害、角膜障害、無水晶体眼、眼内炎のある人、眼内レンズを挿入している人、眼内手術の既往歴のある人などは、医師に報告してください。重い腎障害のある人は、使用できないことがあります。


 また、隅角ぐうかく(眼圧を保つ房水の出口)の診断を受けてから使用します。ラタノプロスト・チモロールマレイン酸塩製剤では、気管支喘息またはその既往歴のある人、気管支けいれんや重篤な慢性閉塞性肺疾患のある人、コントロール不十分な心不全、洞性徐脈、房室ブロック(Ⅱ、Ⅲ度)、心原性ショックのある人、この薬の成分に対して過敏症の既往歴のある人などには使用できません。ジスチグミン臭化物製剤では、眼圧上昇をもたらすおそれがあるため前駆期緑内障の人や脱分極性筋弛緩剤を使用中の人には使用できません。ビマトプロスト製剤では、ヘルペスウイルスが潜在している可能性のある人やプロスタグランジン系点眼剤を使用中の人は、医師に相談してください。


 ドルゾラミド塩酸塩チモロールマレイン酸塩配合製剤では、肺高血圧症による右心不全のある人、うっ血性心不全のある人、糖尿病性ケトアシドーシス及び代謝性アシドーシスのある人、コントロール不十分な糖尿病のある人、肝機能障害のある人、眼内手術の既往歴のある人、ほかの薬を使っている人は、医師に相談してから用いてください。


 ブリモニジン酒石酸塩製剤では、この薬の成分に対して過敏症の既往歴のある人、低出生体重児、新生児、乳児又は2歳未満の幼児には使用できません。また脳血管障害、心血管系疾患、起立性低血圧のある人は、あらかじめ医師に報告してください。


③過去にこれらの薬で過敏症状をおこしたことのある人、妊婦、現在妊娠する可能性のある人、母乳で授乳中の人は、必ず医師に報告してください。


 ブリンゾラミド製剤ビマトプロスト製剤及びラタノプロスト製剤では、点眼後、一時的に目がかすむことがあります。この薬を使用中は、自動車の運転や危険な作業には注意してください。タフルプロスト製剤では、副作用の虹彩・眼瞼色素沈着の予防あるいは軽減のため、使用の際によくふき取るか洗顔してください。


 ラタノプロスト・チモロールマレイン酸塩製剤では、肺高血圧症による右心不全のある人、うっ血性心不全のある人、糖尿病ケトアシドーシス及び代謝性アシドーシスのある人、コントロール不十分な糖尿病のある人、無水晶体眼または眼内レンズ挿入眼の人、眼内炎のある人、ヘルペスウイルスが潜在している可能性のある人、妊婦・妊娠している可能性のある人、母乳で授乳している人などは、医師に相談してから用いてください。


 ラタノプロスト・チモロールマレイン酸塩製剤を点眼後、一時的に霧視むしが現れることがあるため、症状が回復するまで、車の運転や機械類の操作はしないでください。

出典 病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版について 情報

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