低出生体重児(読み)ていしゅっしょうたいじゅうじ

  • (子どもの病気)
  • Low birth weight infant
  • low-birth-weight infant
  • ていしゅっせいたいじゅうじ
  • ていしゅっせいたいじゅうじ〔テイシユツセイタイヂユウ〕

妊娠・子育て用語辞典の解説

体重が2,500g未満で生まれた赤ちゃんをいい、出生後に市町村への届け出が必要です。1,500g未満の赤ちゃんは「極低出生体重児」、1,000g未満の場合は「超低出生体重児」といいます。妊娠週数が37週未満で生まれた赤ちゃんは「早産児/早期産児」といい(ほとんどが2,500g未満です)、低出生体重児とともに、一般に「未熟児」と呼ばれています。

出典 母子衛生研究会「赤ちゃん&子育てインフォ」指導/妊娠編:中林正雄(愛育病院院長)、子育て編:多田裕(東邦大学医学部名誉教授) 妊娠・子育て用語辞典について 情報

知恵蔵の解説

生まれた時の体重が2500g未満の新生児の総称。日本では年々増加してきている。原因は様々で、出産予定日より早い出産(早産)や胎内での発育が悪い場合に生じ、妊娠中の喫煙、不妊治療による多胎の増加、また医療技術の進歩で極低出生体重児(1500g未満)の救命が高くなったこと、などが考えられる。中でも大きな要因は、若い女性のスリム志向によるダイエット、妊娠中の栄養摂取の制限などが影響している。非妊時女性の体格を肥満判定に用いるBMIで表すと、「やせ」妊婦では低出生体重児及びSFD児(妊娠期間に比し体重の小さい胎内発育不全の児)の出生率が高い。特に、妊娠中の体重増加が悪いと低出生体重児やSFD児が生まれる危険性が高くなる。一方、「肥満」妊婦では、「標準」妊婦に比べて妊娠合併症が多く発症し、妊娠中の体重コントロールが重要な治療的意味を持っている。しかし、「やせ」妊婦では妊娠中の体重増加を抑制する必要はなく、厳しい体重コントロールが、結果的に胎児を栄養障害の状態に陥らせている可能性がある。 最近、低出生体重児は成長後の高血圧などの生活習慣病と結び付いているという「成人病胎児期発症説」が取りざたされている。すなわち、「生活習慣病」は胎児期に低栄養にさらされることにより発症がプログラミングされるという学説である。

(中村敬 大正大学人間学部人間福祉学科教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

低出産体重児ともいう。未熟児を含めて,在胎期間に比して生下時体重が少い (2500g未満) 乳児をいう。低出生体重児は特にヒアリン膜症,特発性呼吸障害症候群,未熟児網膜症頭蓋内出血,核黄疸その他で生後まもなく死にいたる率が高く,生存した場合でも知能発達身体の発育が遅延することが多い。そのため,低出生体重児の養護は母子保健上の大きな課題の一つとなっている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

出生時体重が2500グラム未満の新生児を低出生体重児と称する。古くは出生時体重2500グラム以下(2500グラムも含む)の新生児を未熟児とよんだが、体重が小さくとも成熟している児が含まれてしまうため、現在は低出生体重児とよぶようになった。また、出生体重1500グラム未満の新生児は極低出生体重児、1000グラム未満が超低出生体重児とよばれるが、かつては出生体重1500グラム未満の新生児が極小未熟児、1000グラム未満が超未熟児とよばれていた。
 現在、未熟児とは、胎外生活に適応するだけの成熟度を備えていない新生児という臨床的表現で、ほぼ早産児(在胎37週未満で出生した児)を意味する。[仁志田博司]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

六訂版 家庭医学大全科の解説

 出生体重が2500g未満の赤ちゃんを低出生体重児と呼びます。そのなかで、1500g未満の赤ちゃんを極低出生体重児、1000g未満の赤ちゃんを超低出生体重児と呼びます。また、妊娠37週未満で生まれた赤ちゃんを早産児と呼びます。最近は未熟児という表現は使われなくなりました。

合併症を起こしやすい

 早く、小さく生まれた赤ちゃんは、体のさまざまな機能が未熟なため、いろいろな合併症を起こしやすくなります。新生児仮死(かし)呼吸窮迫(こきゅうきゅうはく)症候群動脈管開存症(どうみゃくかんかいぞんしょう)、低血糖、電解質異常などが生後数日間の間に起こることがあります。また、生後数日から数週間にかけて、慢性肺疾患、無呼吸発作、貧血、黄疸(おうだん)などが起こることがあります。免疫力も弱いため、重症の感染症にかかりやすくなります。また、網膜の異常(未熟児網膜症(もうまくしょう))がみられることもあります。

 小さな赤ちゃんは、いろいろなサポートを受けながら、これらを乗り切っていく必要があります。なかでも超低出生体重児や極低出生体重児ではこれらの合併症が高率に起こります。2000g以上で生まれた赤ちゃんでは、あまり問題になることはありません。

 最近は、小さな赤ちゃんの救命率はだんだん高くなってきています。日本では、超低出生体重児であっても約80%以上の赤ちゃんは助かるようになりました。しかし在胎週数が短くなればなるほど未熟性が強くなり、死亡率も高くなります。

発育の過程について

 早産で生まれた赤ちゃんは、同じころに満期で生まれた赤ちゃんに比べると、しばらくは身長や体重が小さいままで経過しますが、普通は3歳を過ぎたころから追いついていきます。お座りや一人歩きなどの運動発達についても、予定日からの月齢で評価する必要がありますが、とくに超低出生体重児では、さらに2~3カ月ほど遅れて発達していくのが普通です。超低出生体重児の約13%に脳性麻痺、約20%に精神遅滞(ごく軽度なものも含めて)がみられるといわれています。

 また、注意欠如多動性障害学習障害、聴力障害も、成熟児と比べて多くなるといわれています。しかし、小さく生まれた赤ちゃんであっても、多くは通常の学校生活、社会生活を営むことができます。

 とくに小さく生まれたお子さんは、小学校に入学する際に、条件によっては就学猶予または免除の制度を利用できることがあります。入学にあたっての不安が強い場合は、主治医に相談してみるとよいでしょう。

佐藤 尚

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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