スティルプノメレン(読み)すてぃるぷのめれん(その他表記)stilpnomelane

最新 地学事典 「スティルプノメレン」の解説

スティルプノメレン

stilpnomelane

IMAのリストでは,(K, Ca, Na)(Fe, Mg, Al)8(Si, Al)12(O, OH36nH2Oの化学組成をもつ鉱物。しかし,スティルプノメレン系鉱物の総称としてとらえられてきた。ふつうはフェロスティルプノメレン(ferrostilpnomelane, )と,フェリスティルプノメレン(ferristilpnomelane, )の二成分系に対して,MgやMnによるFeの置換,Ca, NaによるKの置換が存在する。また,H2Oの量は多少ずれる。Mnの多いもので結晶構造の近似的なものは,パーセッテンス石(parsettensite, (K, Na, Ca)7.5(Mn, Mg)49 (Si, Al)72 O168(OH)30nH2O),とフランクリンフィル石(franklinphillite, (K, Na)4(Mn2+, Zn, Mg, Fe3+48(Si, Al)72(O, OH)216・6H2O)がある。結晶学的性質の得られているものについての一例では,三斜晶系,空間群,格子定数a2.172nm, b2.172, c1.774, α124°, β96°, γ120°, 単位格子中1分子含む。暗緑色(フェロスティルプノメレン)ないし褐色(フェリスティルプノメレン),ガラス光沢劈開{001}に完全。硬度3内外,比重2.7~3。光学的二軸性負,2V小,屈折率α1.56~1.68, β・γ1.60~1.74。多色性著。淡黄・淡緑・淡褐~暗褐・暗緑褐・暗褐など。黒雲母酷似。日本では広域変成岩スカルン中などに産する。埼玉県長瀞地方のいわゆる虎岩の構成成分をなすものは有名。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スティルプノメレン」の意味・わかりやすい解説

スティルプノメレン
すてぃるぷのめれん
stilpnomelane

層状珪酸塩鉱物(けいさんえんこうぶつ)の一つで、ねじれた葉片状結晶の集合で産することが多い。外観は黒雲母(くろうんも)によく似ているため、肉眼での両者の区別はむずかしい。結晶片岩を構成する鉱物の一つとして多量に産する。緑簾(りょくれん)石、緑泥(りょくでい)石、石英などを伴うほか、しばしば磁鉄鉱赤鉄鉱黄鉄鉱からなる層状鉄鉱床中にもみられる。また変成層状マンガン鉱床からはマンガンに富むものが産する。そのほか、スカルンから方解石灰鉄ざくろ石などに伴って産する。日本では埼玉県長瀞(ながとろ)町付近、徳島県三好(みよし)市山城町小歩危(こぼけ)付近にりっぱなスティルプノメレン片岩がみられ、黒白の縞(しま)模様が美しい。そのため俗に虎岩(とらいわ)などといわれる。緑色系統のものは第一鉄を多く含み、褐色系統のものは第二鉄を多く含む。名称は、黒く輝くという意味のギリシア語に由来する。

[松原 聰]


スティルプノメレン(データノート)
すてぃるぷのめれんでーたのーと

スティルプノメレン
 英名    stilpnomelane
 化学式   (K,H2O)(Fe2+,Fe3+)8(Si,Al)12(O,OH)36・2H2O
 少量成分  Mn,Mg
 結晶系   三斜
 硬度    3~4
 比重    2.6~3.0
 色     褐,黒褐,黒緑,灰緑
 光沢    真珠
 条痕    淡褐,淡緑
 劈開    一方向に完全
       (「劈開」の項目を参照)
 その他   カリウムに富むものから,ほとんど
       カリウムを含まないものまである

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スティルプノメレン」の意味・わかりやすい解説

スティルプノメレン
stilpnomelane

(K,Ca)0~1(Fe,Mg,Al)7~8Si8O23~24(OH)4・2~4H2O 。結晶構造上は,滑石に関係ある鉄に富むケイ酸塩らしく,化学式は未確定。化学組成は鉄に富む緑泥石に似ているが,酸化鉄に富むものと三酸化二鉄に富むものとがある。光学的性質は黒雲母とよく似ている。鉄鉱床に伴う鉱物として古くから知られていた。アメリカのスペリオル湖地方のわずかに変成した鉄鉱層では,主要な含鉄ケイ酸塩鉱物である。緑色片岩相や藍閃石片岩相に属する低温の変成岩中にかなり普遍的に出現する。有名な埼玉県秩父郡長瀞の虎岩のトラの皮様の黒い縞の部分はスティルプノメレンである。

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