緞通(読み)だんつう

精選版 日本国語大辞典 「緞通」の意味・読み・例文・類語

だん‐つう【緞通・段通】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「緞通」「段通」は中国語毯子(タンツ)」の当て字 ) 地の糸に綿、麻または羊毛などをつかった敷物用の厚い織物。経(たていと)に種々の色糸を結び、これに緯(よこいと)を打ち込んで模様をつけたもの。古くはペルシアを中心とする中近東でつくられ、シルクロードを経て中国に伝わった。日本へは室町時代毛氈(もうせん)とともに中国から輸入され、また江戸時代、天保期(一八三〇‐四四)には泉州(大阪府)堺付近や播州(兵庫県)赤穂佐賀などでも生産した。緞通織り。《 季語・冬 》
    1. [初出の実例]「毛氈又は壇通(ダンツウ)を敷きて」(出典人情本・毬唄三人娘(1862‐65)二)

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改訂新版 世界大百科事典 「緞通」の意味・わかりやすい解説

緞通 (だんつう)

敷物の一種。中国語のタンツ(毯子)の音訳で,絨毯同義にあつかわれることが多い。しかし,絨毯は長尺で比較的幅の狭いものをさし,緞通は方形(あるいは長方形短尺に織ったものをいう。西域から中国に伝わり,日本には室町時代に入ったが,当時の遺品はない。江戸時代に長崎で中国の製織技術を習得して始めた鍋島緞通,この影響下に生まれた堺緞通,赤穂緞通がある。
絨毯
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「緞通」の意味・わかりやすい解説

緞通
だんつう

敷物用織物の一種。中国語のダンツ (毯子) のあて字。手織りの重厚な絨毯で,特に小ぶりで方形のものをさすが,絨毯と混用されることが多い。製法は綿や麻の地糸に毛を一目ずつ手で結んで植えたのち,包丁か鋏で切って立毛する。非常に手間がかかり高価である。インド,ペルシア,中国が原産。日本へは江戸時代にその技術が伝わり,佐賀の鍋島緞通に始って堺,赤穂でも製織された。

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百科事典マイペディア 「緞通」の意味・わかりやすい解説

緞通【だんつう】

敷物用織物の一種。中国語の毯子(タンツ)の音訳。絨毯(じゅうたん)の長尺に比し幅広く短尺。指先でひと目ずつ毛を結び植え,のち,はさみや包丁できって立毛する。南西アジアのものは有名。日本では鍋島(佐賀)緞通,堺緞通等が知られる。

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世界大百科事典(旧版)内の緞通の言及

【織物】より

…絹織物では桐生,足利,八王子,米沢の白生地や着尺,仙台の袴地,博多の帯,長浜,峰山の縮緬,郡内の甲斐絹,結城,上田の紬など,木綿では松坂,三河,河内,真岡の綿布,薩摩,久留米,伊予,倉吉,広瀬,備後,村山の絣,阿波,川越,銚子の縮,川越や小倉の縞などが生産され,また麻織物としては奈良,近江,越後,薩摩などで,生平(きびら),上布,縮が生産された。特種なものとしては堺や赤穂,佐賀で緞通も作られた。これらの中には商品として中央市場にもたらされたものもあったが,木綿の縞や絣織物は農村の暮しの中から生まれ,消費されたものである。…

【絨毯】より

…材料には羊毛,綿,絹がある。大部分のパイル糸に羊毛が用いられているが,ペルシア絨毯の高級品のようにすべての材料が絹のもの,日本の鍋島緞通(だんつう)や赤穂緞通のようにすべて綿製のものもある。経糸やよこ糸には羊毛のほか,細く堅牢な綿もよく使われ,高級品には絹も用いる。…

※「緞通」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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