繧繝(読み)ウンゲン

デジタル大辞泉 「繧繝」の意味・読み・例文・類語

うん‐げん【×繧×繝/×暈×繝】

同じ色を濃から淡へ、淡から濃へと層をなすように繰り返す彩色法。中国西域から伝わり、主に宝相華ほうそうげなどの文様を表す。赤・青・緑・紫などの色を用い、奈良・平安時代の仏画、寺院の装飾や染織などに用いられた。繧繝彩色さいしき。

う‐げん【×繧×繝/×暈×繝】

「うんげん」の撥音の無表記。

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精選版 日本国語大辞典 「繧繝」の意味・読み・例文・類語

うん‐げん【繧繝・暈繝・雲間】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ① 染色または彩色の名。同じ色を段層的に濃淡をつけて染め、あるいは織り出すこと。また、その織り出されたもの。朱繧繝、紫繧繝、萌黄(もえぎ)繧繝などがあり、奈良時代から行なわれ、平安時代に盛んになった。
    1. [初出の実例]「雲間亀甲腰垂二具」(出典:西大寺資財流記帳‐宝亀一一年(780))
  3. ② 「うんげんにしき(繧繝錦)」の略。
    1. [初出の実例]「あこく将が出立は雲絹の赤装束」(出典:浄瑠璃・国性爺後日合戦(1717)二)
  4. ③ 「うんげんべり(繧繝縁)」の略。
    1. [初出の実例]「暈繝高麗。并衣裳之類」(出典:異制庭訓往来(14C中))
  5. ④ 美術用語で、くまどり。

う‐げん【繧繝・暈繝】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「うんげん」の「うん」の撥音が表記されなかったもの ) 繧繝錦(うんげんにしき)の縁(へり)を用いた畳。
    1. [初出の実例]「錦はし、高麗はし、うげん、紫はしのたたみ」(出典:堤中納言物語(11C中‐13C頃)よしなしごと)
    2. 「東のたい一まに、うげんをしきて」(出典:とはずがたり(14C前)三)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「繧繝」の意味・わかりやすい解説

繧繝
うんげん

一般には同系色の濃淡による色の「ぼかし」、または赤系、緑系、紫系など、それぞれの濃淡を組み合わせた階層をなす色調をいう。彩色法として絵画その他の美術工芸品に広く取り入れられているが、とくに染織品では、こうした色調の染物、織物を繧繝染め、繧繝錦(にしき)といっている。繧繝染めは濃淡に染め分けた縞(しま)状の文様で、絞りの技法によってつくられるものが多く、色と色の境目に染料のにじみによる微妙な色調が表れるのが特徴。

 繧繝錦は中国盛唐のころより製織され始めた、新しいスタイルの錦文様で、中央アジアのトルファン・アスターナ出土の裂(きれ)類や、わが国の正倉院伝世の裂類のなかに、この種の作例が見受けられる。文様は階層をなす色の段に、菱(ひし)、花鳥、あるいは円形の小文様が織り出されたもので、地色の幅が一定して色の階調が穏やかなもの、地色の一つを強調して幅に大小をつけ、色調のコントラストを強く表出したものなどがある。平安時代以降、繧繝錦は独得の定形化した錦文様となり、宮中、神社、仏閣の畳縁(たたみべり)(繧繝縁)、その他の装飾として今日まで用いられてきている。

[小笠原小枝]

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