ことわざを知る辞典 「習うより慣れよ」の解説 習うより慣れよ 技芸を修得するには、人に理屈で教えてもらうよりも、実地に何度も何度も繰り返して慣れることが大切である。 [使用例] 「しかし、子供の世話というのは大変でしょう」「毎日家へ帰ると、体中の骨がバラバラになるような気がしましたわ、子供といっしょに動いている時はなんでもないのに……でも、習うより慣れろですわね、今はもう、なんともありませんの」[平岩弓枝*旅路|1967] [使用例] 近時、街頭いたるところでヨーヨーをもてあそぶのを見かける。おとなも子どももあの巧みな上下運動、あれこそ「習うより慣れよ」のことわざを如実に物語るものであって、いくらその道の達人から理屈を聞いたとて、決して初めから真ま似ねしうるものではない[松下幸之助*松下幸之助発言集第29巻―昭和八年|1992] [解説] 理屈を教わって、わかったつもりになっても、繰り返し練習し、実地に経験を積まなければ、ものの役には立ちません。技能を本当に身につけるには、ことばだけではなく、体感することが大切なことを強調し、「ナ」の頭韻によって印象に残る表現となっています。 ことわざの背景にあるのは、近代の学校中心の教育ではなく、かつての庶民の仕事と一体化していた教育で、そこでは理論よりも、師匠や先輩を見習って実地に繰り返すことが中心で、仕事をしながら技能を習得していました。理論を軽視してはいけませんが、頭だけで理解することへの警鐘として、今日なお十分意義のあるものといえるでしょう。 〔英語〕Practice makes perfect.(実践が完成する) 〔中国〕師伝領上門、巧妙在各人(師匠は入り口まで連れて行くが、巧みさは各自の努力しだい) 出典 ことわざを知る辞典ことわざを知る辞典について 情報