職業指導(読み)ショクギョウシドウ

デジタル大辞泉 「職業指導」の意味・読み・例文・類語

しょくぎょう‐しどう〔シヨクゲフシダウ〕【職業指導】

職業の選択に必要な知識技術教授、各人の適性検査就職指導などを目的とした教育活動。

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精選版 日本国語大辞典 「職業指導」の意味・読み・例文・類語

しょくぎょう‐しどうショクゲフシダウ【職業指導】

  1. 〘 名詞 〙 正しい職業生活へ進めるよう個性に適した職業や進路を選ぶよう指導するための諸活動。中学校高等学校教育課程にあるものは、学校進路指導としてこの指導にあたり、その他の求職者には公共職業安定所が中心となって、その選択と就職について指導を行なっている。〔国民百科新語辞典(1934)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「職業指導」の意味・わかりやすい解説

職業指導 (しょくぎょうしどう)

職業指導が行われる代表的な場は,労働行政と教育界である。労働行政,主として公共職業安定所の行う職業指導は,〈職業に就こうとする者に対し,その者に適当な職業の選択を容易にさせ,及びその職業に対する適応性を大ならしめるために必要な実習,指示,助言その他の指導を行う〉(職業安定法5条)ものである。またこの指導は,身体に障害のある者,新たに職業に就こうとする者,その他職業に就くにあたり特別の指導援助を必要とする者(たとえば高年齢者など)に対して行われなければならないとされている(同法22条)。公共職業安定所の行政サービスの重要な柱の一つとして位置づけられ,そのための専門官が各所に配置されている。

 教育界とりわけ中学校や高等学校での職業指導は,進学を希望する生徒などすべてを含め〈進路指導〉という名称で統合され,実施されている。中学・高校とも,その学習指導要領に,学校の教育活動全体を通じて,個々の生徒の能力・適性等の的確な把握に努め,その伸長を図るように指導するとともに,計画的,組織的に進路指導を行うべきことが示されている。すなわち,教育活動として行われるものである。定義的にいえば,〈生徒の一人ひとりが,自分の生き方への関心を深め,自分の能力・適性等の発見と開発に努め,進路の世界への知見を広め,かつ深いものとし,やがて自分の将来の展望を持ち,進路の選択・計画をし,卒業後の生活によりよく適応し,社会的・職業的自己実現を達成していくことに必要な,生徒の自己指導能力の伸長を目指す,教師の組織的,継続的な指導・援助の過程〉(文部省編《中学校・高等学校進路指導の手引》,1975)である。

 職業指導における具体的援助活動には,(1)個人理解と自己理解の促進,(2)進路・職業情報の提供と進路理解の促進,(3)進路・職業に関する探索的・啓発的経験とその機会の提供,(4)進路・職業相談,(5)進路・就職先決定のための指導・援助,(6)進路・就職先での適応の援助,などがある。職業指導は,最初の進路選択から引退するまで,個人の長い職業生涯の各段階において,必要に応じて行われるものでなければならない。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「職業指導」の意味・わかりやすい解説

職業指導
しょくぎょうしどう

職業指導ということばは、主として労働行政と学校教育の場において用いられている。

[三富紀敬]

労働行政

職業指導は、公共職業安定所の行う重要な業務の一つである。この場合の職業指導とは、「職業に就こうとする者に対し、実習、講習、指示、助言、情報の提供その他の方法により、その者の能力に適合する職業の選択を容易にさせ、及びその職業に対する適応性を増大させるために行う指導」(職業安定法4条)とされており、さらに、公共職業安定所は、「身体又は精神に障害のある者、新たに職業に就こうとする者その他職業に就くについて特別の指導を加えることを必要とする者に対し、職業指導を行わなければならない」(同法22条)と定められている。

[三富紀敬]

学校教育

中学校や高等学校での職業指導は、進学指導とともに、進路指導のなかに含まれる。職業の内容、就職先などの情報を与えること、児童・生徒の適性、興味などを含む自己理解に関すること、さらに、選職の相談・助言などの3側面を主要なものとする。各教科、道徳、特別活動の教育課程全領域で行われるが、とくに、特別活動のなかの学級指導の時間で計画的に実施される。

[坂本昇一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「職業指導」の意味・わかりやすい解説

職業指導
しょくぎょうしどう
vocational guidance

職業選択,準備,就職,職業への定着・発展という過程全体を通して個人を援助すること。定義から明らかなように,これは本来学校教育と労働行政 (特に職業安定行政) の有機的な連係を前提とする活動である。しかし,日本ではその雇用慣行,学校教育における資格付与の特質などからこのような指導は成立しがたく,学校と職業安定所が個々に,生徒の集団所属の世話 (学校における進学指導〈学校斡旋〉,就職指導〈職場幹旋〉,職業安定所におけるケースワーク的定着指導など) をしているのが実情である (→ケースワーカー ) 。このような状況が価値体系の特質に根ざす持続的なものか,それとも経済環境の変化によって容易に変化するものか意見は微妙に分れるが,教育体制,教育政策の根本に触れる重要な問題である。

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世界大百科事典(旧版)内の職業指導の言及

【職業安定法】より

…ただ,特殊な技能を必要とする美術,音楽,演芸などについては労働大臣の許可をうけることにより特別に許されることになっていたが,1997年の法改正によって原則自由・例外禁止の制度へと変換した。(2)職業指導 職業指導とは,就職希望者に対し,職業の選択を容易にさせるとともに職業に対する適応性を増すために必要な実習や指示を与えることである。公共職業安定所は身体障害者,新規学校卒業者,中高年齢者等就職につき特別の配慮を要する者に対して,職業指導をしなければならない(22条)。…

※「職業指導」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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