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職能代表制 しょくのうだいひょうせい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

職能代表制
しょくのうだいひょうせい

各種の職能団体の利益代表により議会を構成する制度。 19世紀末にいたりヨーロッパの社会には種々な集団が現れて,それぞれの利益を主張しはじめた。しかし議会は地域代表制であったため,各集団はその主張を反映させることができなかった。そこで国民代表とは擬制にすぎないとの批判が起り,職能代表制を採用すべしとの主張が生じた。 S.ウェッブ,G. D. H.コールらはギルド社会主義によってこれを最も雄弁に代弁した。だが,選挙人を各職域に振りあて,議員定数を決めることが技術的に困難であるので,職能代表制は地域代表に代るべきものとしてではなく,その不完全性を補完するものとして主張されることが多かった。 1919年のワイマール憲法は議会のほかに職業別集団の代表から成る国家経済議会を設けたが,それは職能代表制の実施であったといってよい (→経済議会 ) 。日本においても参議院を職能代表にすべし,という意見があるが,職能代表制の前提としては職業団体が社会的に明確に存立することが必要である。

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デジタル大辞泉の解説

しょくのう‐だいひょうせい〔‐ダイヘウセイ〕【職能代表制】

職業別団体から代表者を議会に送る代議制度。ワイマール憲法下のドイツの経済会議や、第二次大戦後のフランスの経済社会評議会などがその典型。→地域代表制

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百科事典マイペディアの解説

職能代表制【しょくのうだいひょうせい】

地域代表制の対。立法議会の議員を各種職能団体から選出する制度。地域代表制が社会生活の複雑化・多元化に伴う利益代表的性格をもてなくなり,真の国民代表としての機能を果たし得ないとの批判から,それを補う制度として20世紀以降考案されたもの。

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大辞林 第三版の解説

しょくのうだいひょうせい【職能代表制】

職業別団体から代表を選出して議会に送る代議制度。ワイマール憲法下のドイツの経済会議、第四共和制憲法下のフランスの経済評議会など。 → 地域代表制

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

職能代表制
しょくのうだいひょうせい
functional (occupational) representation

選挙人を各職域に分け、職域を単位として代表者を選任する方法であり、一定の地域を基礎単位として代表者を選出する地域代表制に対比される概念である。
 職能代表制は、第一次世界大戦後のイギリスのギルド社会主義、フランスやイタリアのサンジカリズムなどにおいて唱えられ、シドニー・ウェッブ、G・D・H・コール、デュギーらがその意義を強調した代表的理論家である。これらの論者は、各種の利害関係を異にする人々が雑居する地域を単位とする地域代表に基づく議会政治は擬制であると批判し、真の代表は一般的、総括的ではなく、つねに特定的、職能的であると主張するとともに、現代政治における集団の個人に対する優越的意義を説いて、地域代表にかわる職能代表、集団代表の必要性を強調した。このような見解は20世紀になって、各種の職能団体が増大し、これらの組織に加入する者が増加するに伴い、人々は地域よりも同一職能における利害の共通性を強く意識するに至り、これらの社会組織または経済組織の代表者をして政治に関与させようとする見地から主張された。
 職能代表制が立法議会の選挙制度において採用された例は少なく、その採用例の多くは諮問機関においてである。たとえば、ワイマール憲法のライヒ経済会議やフランス第五共和政の経済社会評議会などである。[三橋良士明]

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