地域を基礎として選挙人団を組織し、その地域を単位とする選挙区から代表者(議員)を選出する方法。職業的・経済的な職能集団を基礎単位として選挙人団を組織する職能代表制に対比される。地域代表制の原理は、身分や職業などの違いを超えて、すべての人間の意思の価値に差異はなく、かつ、その意思を同質的な議員によって代表できるとする観念を前提としている。したがって、地域代表制において、地域的選挙区は同質的な国民を区分する便宜的な手段、いいかえれば、単に選挙手続上の技術的な単位にすぎない。一般に、近代議会制度においては、居住の地域ごとに選出された代議員の構成体である議会が最高の国民代表機関であり、その構成員たる議員は、中世の身分制議会におけるごとく選出母体の意思に拘束された代理人ではなく、また特定の選挙区の利益代表でもなく、全国民の代表者であるとされる(国民代表主義)。しかし、現実政治において、議員は選挙区や選出母体の利益代表として行動することが多く、それゆえ、職能代表制の理論は、国民代表主義を前提とする地域代表制は擬制であると批判する。今日、わが国をはじめ議会政治の諸国では地域代表制を原則としている。
[三橋良士明]
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