職階制position(job)classification planにより決める賃金で、職階制賃金ともいう。職階制は、職務の種類や難易度、責任の度合いなどに応じて職群ないしは職種に分類・整理し、それに1級、2級、3級などの等級づけを行う職務分類制度であり、この職階等級に賃金を結び付けたものが職階給である。このように職階制の基礎は職務であり、賃金決定の基礎に職務が置かれているという点で、職務給の一種である。ただし職階給の場合には、職階別に昇給ラインがまったく異なっているため、上位職に移らなければ賃金も低いところで頭打ちとなるなど、本来の職務給に比べてより厳しい内容をもっている。
職階給は、1910年代にアメリカで生まれ、官庁や民間大企業を中心に普及を遂げてきた。わが国では、1948年(昭和23)政府臨時給与小委員会が官公労働者の給与改定(2920円ベース)を提示した際に設定した15等級の暫定職務給体系が、その導入の始まりとされている。それ以後、幾度かの改定を経ながら官公労働者の基本的な賃金形態として本格的に確立した。職階給は、具体的には、賃金をいくつかの等級に分けたうえでそれぞれの等級のなかにさらに細かく号俸を設定した賃金表(俸給表)を作成し、それに基づいて実施される。しかも多くは、職群ごとに賃金表が分かれ、さらに職群ごとの賃金表が複数設定され、ランクづけはいっそう複雑となっている。たとえば、国家公務員の場合、行政職(一・二表)、専門行政職、税務職、公安職(一・二表)、海事職(一・二表)、教育職(一・二・三・四表)、研究職、医療職(一・二・三表)、福祉職、指定職という、10の職群と18の俸給表に分かれている。そして行政職一表は、11の等級に区分されたうえで各等級内でさらに15~32の号俸が設定されている。こうした幾重にもわたる賃金のランクづけは、等級別定員制、人事考課中心の昇級と相まって、労働者に差別・分断をもたらしてきており、労働組合側からは多くの改善要求が出されている。
[横山寿一]
『高木督夫・深見謙介著『賃金体系と労働組合』上下(1974・労働旬報社)』
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