肉質虫類(読み)にくしつちゅうるい

精選版 日本国語大辞典 「肉質虫類」の意味・読み・例文・類語

にくしつちゅう‐るい【肉質虫類】

  1. 〘 名詞 〙にくしつるい(肉質類)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「肉質虫類」の意味・わかりやすい解説

肉質虫類
にくしつちゅうるい

原生動物の肉質鞭毛虫(べんもうちゅう)門の一亜門Sarcodinaで、広義アメーバ類amoebae, amebasに相当する。約1万2000の自由生活種と約250の寄生種を含み、原生動物中最大の群である。真核をもち、恒久的な運動器官はなく、運動、変形接着、摂食、感覚などの機能を仮足(かそく)(擬足(ぎそく)、偽足(ぎそく)ともいう)で行い、食作用と飲作用によって餌を捕食することが特徴。したがって、仮足は形成するが全生活環を通じて鞭毛をもつような種はこれに含まれない。仮足は原形質流動によってつくられる一時的な細胞の突出部で、その外形や内部構造の相違吻合(ふんごう)の有無などにより、最近は葉状、糸状、網状、有軸、菌状の五つの仮足に分類される。

 肉質虫亜門は、葉状、網状、糸状、あるいは菌状仮足を形成する根足虫綱Rhizopodaと、微小管性の軸糸をもつ有軸仮足を出す有軸仮足綱Actinopodaとに二分される。根足虫類では殻をつくらない裸のアメーバGymnamoeba、じょうぶな種々の殻を分泌する有殻アメーバTestacea、一般に多核で多室に分かれた多孔質の殻から無数の網状仮足を出し、分岐と吻合によって殻の周囲に仮足網を張り巡らせる海産の有孔虫Foraminiferaなどが代表である。粘菌Mycetozoaは、子実体を形成し胞子によって無性増殖することや、その外形の類似から菌類に編入されることもあり、あるいは摂食が食作用によること、また菌状仮足の性状がアメーバと類似する点を重視して根足虫綱に分類される場合もある。

 有軸仮足類の代表は海産浮遊生物として重要な放散虫Radiolariaと、淡水産の太陽虫Heliozoaである。前者は細胞の中心部を取り囲む中心嚢(のう)とよばれる被膜があり、硫酸ストロンチウム、ケイ酸、有機物などを組成とする非常に精巧多様な棘骨(きょくこつ)や殻などの骨格を形成する。後者には中心嚢がない。

[石井圭一]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「肉質虫類」の意味・わかりやすい解説

肉質虫類
にくしつちゅうるい
Sarcodina

原生生物界に属する仮足をもつものの総称。体は可変性で,透明等質の外質と顆粒状の内質とからなるが,外殻あるいは石灰質の骨格やケイ酸質の骨針をもつものもある。いずれも原形質流動によって運動したり食物をとったりするが,そのための仮足には,葉足,糸足,根足,軸足など各種の形がある。体内には核,収縮胞(海産のものは欠く),食胞結晶油滴などがある。根足虫類と軸足虫類(太陽虫類放散虫類など)に大別され,淡水,海水,土壌中に広く分布する。寄生生活をするものもある。

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