食の医学館 の解説
はだのとらぶるすきんけあ【肌のトラブル・スキンケア】
《どんな病気か?》
〈不摂生やストレスは、美しい肌の大敵〉
女性にとって、キメの細かな美しい肌を保つことは、永遠の課題です。毎日手入れをしていても、肌荒れや吹き出ものに悩まされることがあります。また、年齢とともに、シワやシミがふえ、肌のつやや潤いが失われていきます。
このような肌のトラブルや衰えには、それぞれに原因が考えられますが、健康で美しい肌を保つためには、体が健康であることが第一です。不摂生や病気によって体調がくずれると、肌の健康もそこなわれます。そのため、規則正しい生活をし、肌も十分に休まるような休養をとること、ストレスをためないことなどが、スキンケアのポイント。また、紫外線や乾燥など、外からの刺激も、肌のトラブルを引き起こす原因になります。
皮膚の細胞はおよそ4週間で新しい細胞へと入れ替わります。この細胞の入れ替わりが活発に行われるようにするには、新陳代謝(しんちんたいしゃ)をうながし、皮膚の細胞に栄養分をいきわたらせることがたいせつ。そのためには、体の内側から気を配ること、つまり食生活もたいせつな要素です。
《関連する食品》
〈たんぱく質とビタミン類で、体の内部からきれいな肌を〉
○栄養成分としての働きから
美しい肌をつくり、保つためには、たんぱく質やビタミン類が必要不可欠です。
たんぱく質は、肌はもちろん、体をつくり維持するたいせつな成分。全身の健康状態をよくする意味でも必要で、不足すると、皮膚は乾燥し、つやを失います。牛肉や鶏卵などの動物性たんぱく質のほか、ダイズ製品など植物性たんぱく質も合わせてとります。
皮膚は、皮脂腺(ひしせん)や汗腺(かんせん)の働きによって保護され、潤いが保たれています。その働きを高めているのがビタミンA。不足すると潤いがなくなり、角質層(かくしつそう)が厚くなり、肌が荒れてきます。レバーやウナギ、鶏卵、ニンジン、ホウレンソウ、ダイコンの葉、コマツナ、シュンギクなどの緑黄色野菜に多く含まれています。
ビタミンB群は、皮膚の新陳代謝をうながし、肌に張りと弾力性を与えます。不足すると、皮脂のコントロールがうまくいかなくなって、吹き出ものがでやすくなります。サバやイワシなどの青背の魚や貝類、納豆やレバー、キノコ類などからも摂取できます。
シミやソバカスに大きな影響をおよぼすメラニン色素の増加を抑えて、沈着を防ぐのがビタミンCです。同時に、コラーゲンを生成して、皮膚の抵抗力を高め、張りを保ちます。緑黄色野菜やくだものに多く含まれますが、とくに豊富なブロッコリー、ピーマンやコマツナ、イチゴ、キウイなどから摂取すると効率的です。
コラーゲンが不足すると皮膚表面は肌荒れを起こしたり、血管内の細胞がはがれて出血してしまうこともあります。またコラーゲンは皮膚や血管だけでなく、骨、軟骨、歯、歯ぐきを健康に保つために欠かせない物質です。
ビタミンCによって生成を助けるだけでなく、コラーゲンは直接食べものからも摂取できます。鶏肉を煮こむとゼラチン質の物質がでますが、これがコラーゲンで、沸騰させるとゼラチン質になるのが特徴です。多くの食品から、直接摂取したり、またビタミンCを摂取することで根本的な肌の健康を保ちましょう。
ビタミンEは血液循環をうながす作用があり、肌の血色をよくするだけでなく、肌のすみずみまで酸素と栄養分をいきわたらせてくれます。アーモンドや落花生などのナッツ類や青背の魚でとることができます。
また、細胞と細胞をつなぐ接着剤の役目をするコラーゲンは、エビやカレイに多く含まれ、血管や骨の成長、修復に欠かせません。
このほか、ワカメ、ヒジキ、コンブなどに多く含まれるミネラル類もとりたいもの。ただしヨードをとりすぎると、にきびが悪化します。
〈トウガン、ユズ、米ぬかを外用して美肌効果を〉
○漢方的な働きから
漢方では、体の内部から美しい肌を維持するには、ヤマノイモやウメ、レンコンやキクラゲなどが美肌に効果があるといわれています。
一方で、食べものをじょうずに外用した美肌づくりもあります。
・トウガン水/トウガンの皮をむき、酒と水でドロドロになるまで煮込み肌につける。美白としっとり効果。
・ユズローション/皮つきのユズを日本酒に1か月漬け込む。しっとり効果。
・米ぬか湯/米ぬかを布袋に入れ、たらいなどのお湯でエキスを抽出。これを入浴剤として使用。米ぬかの脂質やたんぱく質で肌の若返り効果。
○注意すべきこと
刺激の強いものは肌にもいい影響を与えません。香辛料や甘いものを多くとると、体内の新陳代謝が活発になりすぎて、肌のトラブルのもとになります。また喫煙も血行を悪くするため、肌荒れの原因になります。