食の医学館 「レンコン」の解説
レンコン
《栄養と働き》
中国あるいはエジプト、インドが原産地といわれています。ハスの地下茎の先端部が肥大した部分で、冬から春先にかけて収穫されます。
わが国に入ってきたのは鎌倉時代で、おもに観賞用に花を育てていました。食用として本格的に栽培がはじまったのは明治時代以降です。
レンコンには葉柄(ようへい)に酸素を送るための通気孔として、10個程度のあながあります。
この独特の形を「見通しがきく」として、おめでたい席での料理によく用いられます。
〈便秘を解消する食物繊維を豊富に含む〉
○栄養成分としての働き
主成分は炭水化物で、たんぱく質、ミネラルは少ないのですが、ビタミンCは豊富です。Cは肌の新陳代謝(しんちんたいしゃ)を活発にしてシミ・ソバカスを防ぎます。たんぱく質とともに働いてコラーゲンの生成をうながしたり、粘膜(ねんまく)を丈夫に保つ働きもあるので、かぜの予防にも効果的。
便秘(べんぴ)に有効なペクチン、ヘミセルロースなどの食物繊維も豊富。腸内細菌をととのえ便通をよくします。腸内でコレステロールを吸着して、排出する働きもあるので、動脈硬化予防にも役立ちます。
〈たんぱく質を消化し、疲労を回復させる〉
レンコンを切ると糸を引きますが、ねばねばした成分には胃腸の粘膜を保護する働きがあります。
さらに、消炎作用や収れん作用のあるタンニンという成分が含まれており、胃の負担を軽減し、疲れた胃腸のトラブルを解消するのに役立ちます。タンニンは血圧降下作用、止血作用、抗酸化作用にも効果が期待できます。
《調理のポイント》
傷がなく、茶色に変色していないものを選びます。あなの中が赤みがかっていたり、茶色っぽくなっているものは避けます。あなが小さいもの、節と節のあいだが長くて太いものが良質です。
切ったままにしておくと酸化して色がかわってしまうので、すぐに酢水につけます。下ゆでする際も、酢を少々加えるといいでしょう。シャキシャキした歯触りが残るよう、短時間でゆでるのがコツ。鉄鍋に触れると青紫色に変化するので注意が必要です。
お正月料理の酢ばすが知られていますが、てんぷらや煮しめ、五目寿司の具などにも利用できます。
二日酔いには、レンコンとナシをミキサーにかけてつくったジュースを飲むといいといわれています。レンコンの節のあるところを100gとナシ1個分が1人分です。レンコンとナシの組み合わせは、せきやたんにも効果的です。また、レンコン入りのおかゆは滋養強壮(じようきょうそう)にいいとされ、レンコンの絞り汁は下痢(げり)止めに有効です。
○注意すべきこと
さまざまな薬効があり、栄養素もあるレンコンですが、食べすぎには注意が必要です。
熱があって便秘をする人は、逆に胃腸に負担をかけるので、ひかえめにしましょう。