超心理学の用語。現在もっている知識をもとにした推論では予測不可能と思われる未来のできごとをあらかじめ知ること。ESP(超感覚的知覚)を構成する一要素である。古来、多くの予言の事例が伝えられ、予知の技術として各種の占いが行われ、また日常生活のなかで偶発的に予知的体験をもったという報告も多い。
[大谷宗司]
アメリカの超心理学者ラインは、将来ランダマイズrandomize(切り混(ま)ぜ)されるカードの順序をあらかじめ当てることができるかどうか実験した。そして、被験者の答がPK(念力)的にカードに影響する可能性を除くため、PKの及ばないと考えられる気温の変化を実験条件に組み込む方法を用い、予知の可能性を示した。
[大谷宗司]
予知現象は因果律に抵触するとして困難な理論的問題を提出する。その解決のため、無意識の現在には幅がある、時間の可逆性や多次元性を仮定する、光速以上の速さをもつ粒子を仮定する、などいろいろな仮説が出されている。
[大谷宗司]
超心理学の用語で,通常の手段では予測も推測も不能な未来の事象を正しく知ること。超感覚的知覚ESPの一型。昔から〈正夢〉など,予知を思わせる現象が知られているが,予知か偶然の一致かの判断は困難なことが多い。予知を最初に実験的に検証しようとしたのは,アメリカのラインであり,1933年のことである。当時ラインは,死後生存仮説を検討するための第1段階として,純粋テレパシー現象の実在を実験的に検証しようとしていたが,研究の進展に従い,その難しさに気がついた。その経過の中で副産物的に透視という現象が確認され,次いで,純粋透視の可能性を排除しつつ純粋テレパシーの検証を行おうとしたとき,実験終了後結果を集計すると,そのデータを予知的に知ってしまう可能性のあることが推定された。そこでESPカードにより予知の存在を確認するための実験を行ったところ,偶然では考えられないほどの高得点が得られ,ラインは予知の存在を主張した。その後も予知に関するさまざまな実験が行われ,今日に至っているが,統計的に意味のある結果が得られた場合でも,予知に代わる仮説として,念力により,予知仮説を支持する方向へ結果が偏移したとする仮説がたえずつきまとい,予知現象の存在が必ずしも実験的に証明されているとは言いがたい。実験的研究以外にも,予知夢など,偶発的な予知的現象の研究がある。
執筆者:笠原 敏雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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