家庭医学館 「脊椎披裂」の解説
せきついひれつにぶんせきつい【脊椎披裂(二分脊椎) Spina Bifida】
背骨が胎内(たいない)で発生する途中で、背部正中(はいぶせいちゅう)(背中の中央)の脊椎弓(せきついきゅう)の癒合(ゆごう)(くっつき)が不完全だったために、左右に分裂している病気です。脊髄膜(せきずいまく)や脊髄が、分裂している脊椎弓からはみ出し、皮膚が腫瘤(しゅりゅう)(こぶ)のように突き出します。これを嚢胞性二分脊椎(のうほうせいにぶんせきつい)といいます。
逆に、脊椎弓が分裂している部分がへこんでいることもあって、この場合は、潜在性二分脊椎(せんざいせいにぶんせきつい)といいます。
[症状]
生まれたときに、背部正中に腫瘤かへこみがみられます。腰仙部(ようせんぶ)に発生することが多いので、下肢(かし)(脚(あし))の運動障害や膀胱直腸障害(ぼうこうちょくちょうしょうがい)(排尿、排便の障害)をともないます。多くは水頭症(すいとうしょう)を合併します。
[検査と診断]
脳・脊椎のMRI検査で、水頭症の有無と嚢胞の中の脊髄神経の有無を確認します。
胎児(たいじ)がこの病気になると、お母さんの血液中のアルファフェトプロテインという物質の値が高くなりますし、嚢胞性二分脊椎は、超音波断層法で映ることが多いので、出生前の診断が可能になりました。
[治療]
嚢胞性二分脊椎は、感染症を防ぐために、早急に手術をして腫瘤を切除し、膀胱直腸障害に対する機能訓練を行ないます。
潜在性二分脊椎で無症状の場合は、慎重に経過を観察します。