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脳死判定基準 のうしはんていきじゅん

百科事典マイペディアの解説

脳死判定基準【のうしはんていきじゅん】

医師が脳死を判定するための基準で,日本では1985年に厚生省の〈脳死に関する研究班〉がまとめた〈竹内基準〉を主に使用している。深い昏睡や,自発呼吸の消失,脳波が30分以上平たんになるなどという基準が設けられているが,6歳未満の小児や薬物中毒患者は対象外。また,独自に判定基準を設けている病院もある。1997年成立の臓器移植法臓器移植参照)では,〈脳死した者の身体〉とは,脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止する状態に至ったと判断されたものの身体をいう,と決められた。2000年10月,厚生省の研究班は,1985年当時は症例数が少ないことなどから対象外にしていた6歳未満の子どもの脳死判定基準について,検査項目は6歳以上と同じだが2回の判定間隔を12時間以上とするという報告書を発表した(ただし生後12週未満は対象外)。しかし臓器移植法は〈本人が生前に書面で提供の意思表明をする〉ことを大前提とし,民法の規定で〈死後に自分の臓器を提供したい〉という意思表示(遺言)が有効とされるのは15歳以上であり,15歳未満の意思表示は〈無効〉とされた。このため国内での子どもの臓器移植の道は事実上,閉ざされた。その結果海外で移植を受ける〈渡航移植〉が増加した。主な渡航先となった米国やドイツでも臓器は足りず,日本の〈渡航移植〉に対して〈臓器取引〉〈移植ツーリズム〉との国際的な批判が高まった。国際移植学会は2008年,渡航移植の規制強化と臓器提供の自給自足を求めるイスタンブール宣言を発表。世界保健機関(WHO)理事会も,渡航移植を禁止する勧告を出した。こうした勧告を受け,厚生労働省も臓器移植法の改正に動き,2010年7月改正臓器移植法が施行された。改正臓器移植法では本人の意思が書面で残されていなくても家族の同意で臓器提供が可能とした。同時に,脳波検査が可能な生後12週以降であれば子どもであっても家族の承諾だけで,臓器提供が出来るようになった。ただし,過去に虐待を受けたことがある18歳未満の子は臓器提供から除外される。厚生労働省の研究班は,子どもの臓器提供のルールを決める検討過程で〈虐待を防ぐシステムの構築が十分とは言い難い〉として,〈除外すべきだ〉という結論に至った。臓器提供の意思をはっきり残して脳死した子どもがいても虐待記録があれば臓器提供は認められない。ただ18歳を過ぎれば本人の意思が尊重される。
→関連項目移植コーディネーター時実利彦和田寿郎

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