デジタル大辞泉
「伝染性単核症」の意味・読み・例文・類語
でんせんせい‐たんかくしょう〔‐タンカクシヤウ〕【伝染性単核症】
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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「伝染性単核症」の解説
でんせんせいたんかくしょう【伝染性単核症 Infectious Mononucleosis】
[どんな病気か]
EBウイルス(エプスタイン‐バーウイルス)と呼ばれるウイルスが感染しておこる病気で、発熱、のどの痛み、リンパ節の腫(は)れなどの症状が現われます。
10歳以下でこのウイルスの感染を受けても、症状が現われることはありません(不顕性感染(ふけんせいかんせん))。成人の80%近くの人は、子どものころに不顕性感染を受けて、このウイルスに対する免疫を獲得しているので、おとなになって、このウイルスが感染しても発病することはありません。
したがって、免疫(めんえき)を獲得していない人が、おとなになってから感染を受けて発病することが多く、若い人に多いものです。
感染を受けてから発病するまでの潜伏期間は、35日前後です。
[症状]
発熱、だるさ、のどの痛みなどで始まります。
熱は、ときに39~40℃と高いこともありますが、1~2週間もすると下がってきます。
発症後、1週間前後でくびのリンパ節が腫れ、肝臓や脾臓(ひぞう)も腫れ、全身に細かい発疹(ほっしん)が現われてきます。
[検査と診断]
静脈から採血して調べると、発病初期は白血球数(はっけっきゅうすう)の減少がみられますが、一時的で、その後増加してきます。
また、異型(いけい)リンパ球(きゅう)と呼ばれる特徴的な形態をしたリンパ球が増加し、ときに貧血や血小板減少(けっしょうばんげんしょう)がみられることがあります。
血液中の抗体(こうたい)を調べると、EBウイルスに対するさまざまな抗体値が上昇しています。
また、ヒツジやウマといった異種の赤血球(せっけっきゅう)を凝集させる作用のある異好性抗体(いこうせいこうたい)も証明されます(ポール・バンネル反応)。
[治療]
とくに治療は必要ありません。安静と、熱には解熱鎮痛薬(げねつちんつうやく)といった対症療法で、4~5週間もすると治ります。
咽頭炎(いんとうえん)や扁桃炎(へんとうえん)によるのどの痛みを抑える目的でアンピシリンを使用すると、高率に薬疹(やくしん)がおこってくるので、アンピシリン以外の抗生物質が使用されます。
この病気の合併症として、肝障害のほかに、まれに溶血性貧血(ようけつせいひんけつ)、脳炎(のうえん)、脾臓の破裂などがおこり、治療が必要になることもあります。
出典 小学館家庭医学館について 情報
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「伝染性単核症」の意味・わかりやすい解説
伝染性単核症【でんせんせいたんかくしょう】
EB(エプスタイン・バー)ウイルスのほか,サイトメガロウイルスなどによって感染する病気。若者に多くみられる。キスによってウイルスが伝染することから,キス病ともいわれる。かつては離乳期の子どもに母親が口移しで食べさせる習慣があったために,子どもの9割はEBウイルスに感染していた。最近では,感染しないまま成長して,キスで経口感染するとされている。 EBウイルスは1964年に発見され,人種によってまったく違う病気を引き起こすという特徴がある。症状は悪寒,発熱,頭痛,吐き気,咽頭痛,のどやリンパ節の腫れなどがある。血液検査では,リンパ球以外の白血球の減少と,それによるリンパ球の相対的な増加がみられる。 血液中の血清反応をみるポール・バンネル試験で陽性であれば,この病気と診断される。治療は対症的で,抗ウイルス剤,グロブリン製剤などが有効である。
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