病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 「膵臓病治療剤」の解説
膵臓病(膵炎)治療剤
膵臓におこる代表的な病気として、膵炎があげられます。膵臓が分泌するホルモン・インスリンにかかわる糖尿病の治療には糖尿病治療剤〔糖尿病治療剤〕を使用するので、その項を参照してください。ここでは膵炎の治療剤について説明します。
膵臓の炎症には、急性膵炎と慢性膵炎とがあります。いずれも、膵臓の外分泌(膵液を分泌する)組織の障害をきたします。
膵炎は、膵臓で分泌される
急性膵炎のおもな原因として、飲酒と胆石があげられますが、原因を特定できないものも少なくありません。初期症状でもっともよくみられるのは上腹部痛です。
軽症の場合、腹痛は適切な処置をすれば、通常数日で治りますが、その後、膵臓の近くの腸管が
中等症・重症になると痛みが長引き、とくに重症の場合はショックにおちいったり、全身状態が悪化して生命にかかわります。
発病早期の合併症としては、ショック、呼吸困難、乏尿、精神症状、出血傾向があげられます。
また、発病後期の症状としては、
慢性膵炎は、長期間持続する腹痛、外分泌機能の異常、膵臓の石灰化(膵管のなかに結石がたまってくる、膵石症)、内分泌機能不全(糖尿病の合併)などが特徴です。
さまざまな原因で膵臓組織が破壊され、脱落すると、脱落した組織は線維性の組織に変化します。
このような膵線維化がしだいに進行し、膵臓の内・外分泌機能が著しく障害される状態が慢性膵炎です。
慢性膵炎の主要症状は上腹部の鈍痛で、進行すると、下痢や脂肪便、糖尿病などがおこってきます。
膵炎になると、膵臓でつくられる膵液(各種の栄養素を分解する消化酵素が多数含まれている)の分泌が悪くなるとともに、血液中のブドウ糖(血糖)をコントロールしているホルモンの分泌も悪くなります。
こうしたことから、膵炎の治療には、主症状である腹痛の治療剤として抗コリン剤〔一部の消化性潰瘍治療剤、膵・胆道系鎮痙剤〕が、消化の悪化を防ぐために消化酵素剤が、原因となっている蛋白分解酵素のはたらきを抑えるために蛋白分解酵素阻害剤が使用されます。
出典 病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版について 情報