臍の緒(読み)ホゾノオ

デジタル大辞泉 「臍の緒」の意味・読み・例文・類語

ほぞ‐の‐お〔‐を〕【×臍の緒】

《古くは「ほそのお」》
へその緒臍帯さいたい
生まれた子のへその緒を竹刀で切る儀式。また、その役目の人。
「御―は殿の上、御乳つけは橘の三位」〈紫式部日記

へそ‐の‐お〔‐を〕【×臍の緒】

胎児のへそと母体胎盤をつなぐ、ひも状の器官。胎児はこれを通して母体から栄養をとる。臍帯せいたい・さいたい。ほぞのお。

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改訂新版 世界大百科事典 「臍の緒」の意味・わかりやすい解説

臍の緒 (へそのお)

臍帯さいたい)の俗称。母体と胎児をつなぐものであり,これの扱いをめぐってはさまざまな習俗がみられる。へその緒は昔は金物で切ることを嫌い,竹のへらや葦・貝殻などを用いた。手一束(ていつそく)(ひと握り)のところを麻でかたくしばって切る。切るということばを忌んで,岩手県などではへその緒をツグという。へそをツグことは,母体から切り離して生児を一個の人間として独立させることなので,へそをツグ産婆助産婦)は重い意味をもっていた。九州には産婆をヘソバアサンと呼ぶ土地があり,鹿児島県喜界島では産婆の役をフスアンマー(臍母)という。新潟,千葉,神奈川などにはへその緒を切るだけの役目をもつ取上げ親がある。へその緒を短く切ると短気になる,小便が近くなるなどという。へその緒は七夜前後に落ちるが,一般に干して産毛とともに紙に包んで水引をかけ,名前,生年月日を記してその子の守り神として保存する。へその緒はその子が大病をしたときに煎じて飲ませるとよい,嫁にいくときに持たせる,死んだときは棺に入れてやる,便所につるして夜泣きまじないにするなどの俗信がある。

 なお,医学的な面については〈臍帯(さいたい)〉の項目を参照されたい。
後産(あとざん)
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「臍の緒」の意味・わかりやすい解説

臍の緒
へそのお

臍帯

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世界大百科事典(旧版)内の臍の緒の言及

【臍帯】より

…〈せいたい〉とも読み,俗に〈へその緒〉ともいう。胎盤,羊水とともに哺乳類における胎児付属物の一つで,胎盤と胎児のへそとの間をつなぎ,胎盤を介して母体から受けた酸素,栄養物を胎児に運び,胎児から出た炭酸ガス,老廃物を胎盤を通じて母体へ運ぶ重要な唯一の血管を包含している。…

【臍】より

臍帯(さいたい)(俗にいう〈へその緒〉)が胎児に付着していた部分,すなわち臍輪の跡。臍帯は臍輪によって輪ゴムのようにとりまかれているが,生後日がたつにつれて,その締めつけが強くなり,臍帯の中を走る臍動静脈も閉塞し,結合組織化して,臍帯が脱落する。…

※「臍の緒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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