水引(読み)みずひき

精選版 日本国語大辞典の解説

みず‐ひき みづ‥【水引】

〘名〙
① 麻などを水にひたしてその皮を剥ぐこと。
※後撰(951‐953頃)羇旅・一三五六「水ひきの白糸はへて織る機は旅の衣にたちや重ねん〈菅原道真〉」
② 龍頭鷁首(りょうとうげきしゅ)などの箱舟(はこぶね)の舷側に張りめぐらした布帛。それが水面を引いたところからの呼称。転じて、神輿(みこし)や舞台の上部に横に細く張った帽額(もこう)の類にもいう。水引幕。
※台記‐仁平二年(1152)二月二七日「楽船雑具〈略〉水引〈略〉紺唐綾、処処画水文鰐養魚、上際画千鳥
③ 細い紙縒(こより)に糊をひいて干し固めたもの。進物用の包紙などを結ぶのに用いる。普通数本を合わせて、中央から色を染め分ける。吉事の場合は紅と白、金と銀、金と赤などに、凶事の場合は黒と白、藍と白などとする。〔日葡辞書(1603‐04)〕
④ =みずひきまく(水引幕)〔日葡辞書(1603‐04)〕
※相撲講話(1919)〈日本青年教育会〉相撲の沿革と故実「四本柱の上を四方に引廻して張る幕を水引(ミヅヒキ)といひ」
⑤ 甲冑類の化粧の板の下につける、白と赤の二色の革または綾の飾り。〔本朝軍器考(1722)〕
⑥ タデ科の多年草。各地の山野に生える。高さ五〇~八〇センチメートル。茎・葉ともに粗毛を生じる。葉は短柄をもち倒卵形で表面に黒い斑紋(はんもん)があり長さ五~一五センチメートル。夏から秋にかけ、鞭状の長い花枝がのび濃紅色の小花をまばらにつける。漢名、金線草。みずひきぐさ。《季・秋》 〔大和本草(1709)〕
⑦ 和船の舵の後縁をいう船方ことば。
※全流船軍法口伝書(17C中頃)「柁の後を水引と云、前を水切と云」
⑧ 川などから水を引き入れること。
※越前竹人形(1963)〈水上勉〉一「水ひきの便のわるいところは畑である」

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動植物名よみかた辞典 普及版の解説

水引 (ミズヒキ)

学名:Polygonum filiforme
植物。タデ科の多年草,園芸植物

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デジタル大辞泉の解説

みず‐ひき〔みづ‐〕【水引】

細いこよりにのりをひいて乾かし固めたもの。進物用の包み紙などを結ぶのに用いる。ふつう数本を合わせて、中央から色を染め分ける。吉事の場合は紅と白、金と銀、金と赤など、凶事の場合は黒と白、藍と白などとする。
[補説]結び目の形は目的によって使い分けられる。端を引くとほどけて結び直せる蝶結びは、出産・長寿など何度繰り返してもよい祝い事に、端を引いてもほどけない結び切りは、結婚・病気見舞い・弔事などの一度きりを願うものに用いる。鮑(あわび)結び(淡路結び)は結び切りに準ずる。
神前・仏前・御輿(みこし)などの上部に横に張った金襴などの幕。
水引幕」の略。
鎧(よろい)の化粧板の下の紅白2色の綾の飾り。
タデ科の多年草。山野に生え、高さ50~80センチ。多少枝分かれし、葉は広楕円形で互生し、葉面に黒い斑紋がある。8~10月、細長い穂を伸ばして赤い小花をまばらにつけ、実は卵形で褐色。みずひきぐさ。 花=秋》「―の花が暮るれば灯す庵(いほ)/鬼城
貯水池などからの水の分配を支配する責任者。
「―というのは、田に水を入れたり、堰き止めたりする役目をいうので」〈島木健作生活の探求
などを水にひたして皮をはぐこと。転じて、麻の繊維。
「―の泡緒の糸の一筋に分けずよ君を思ふ心は」〈堀河百首

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

水引
みずひき

贈答品を結ぶ飾り紐(ひも)。良質の和紙を縦に細長く切って紙縒(こより)をつくり、米のとぎ汁や糊(のり)を薄めた液に浸(つ)け、手巾(しゅきん)で引き絞って日に干して固める。これを紅、白、金、銀など用途に応じて種々の色に染める。米のとぎ汁を引くことから水引という。同様の製法は髪の髻(もとどり)を結い束ねる元結(もとゆい)にも用いられている。贈答用の進物は、室町時代ごろから紙で包むようになり、これを帯紙で留めるものであった。近世になって水引の技術が開発され、細い水引糸を数本まとめて紐として使うようになった。吉事には奇数、凶事には偶数を用いたりする。結び方は、本来は結び切りであったが、近年は縁起をかついで、婚礼および凶事には「ふたたびないように」と結び切りにし、吉事には返し結びや「あわび結び」にしたりする。色は吉事用には、関東では紅白または金銀の染め分け、関西では紅白または金紅のものを用い、凶事にはともに黒と白、藍(あい)と白または全部白のものを用いる。近年は自分で水引を結ぶことはほとんどなく、商品化したものを使うのが一般で、形式化・装飾化の一途をたどる。熨斗(のし)紙や熨斗袋も簡略なものは、熨斗も水引も印刷したものが多い。

[井之口章次]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

水引
みずひき

(1) egg-dimple 蚕卵の中央部にできる浅いくぼみのこと。蚕卵は産下されてからしばらくは表面がややふくれているが,2~3日経過すると中央部に浅い水引ができる。卵内の貯蔵栄養分の消耗水分発散によってますます深くなり,胚子が反転する頃が最も著しいが,催青期前には再びふくらみ,水引は消える。 (2) 製糸原料繭の価格を決めるとき,生糸歩合が割引かれる比率のこと。原料繭の長期貯蔵や生糸検査などで消耗するので,生糸歩合が繭検定の結果より低くなるための補正。現在の掛け目協定では,生糸価格中に占める繭生産者とその加工業者との配分比率に含めているので,特に繭価の算出に水引は行なっていない。

水引
みずひき

進物の包装を結ぶ飾り用の紙糸。細い数条のこよりを水糊を引いて乾燥させて固め,中央から色分けして染める。一般に祝事の金封や進物品用にはの数として奇数本で,紅白,金銀,金赤に色分けしたものを用い,凶事にはの数として偶数本で,白黒,藍白に色分けしたものや白のものを用いる。水糊を引いて固めたところからこの名が出たといわれ,室町時代にはおもに殿中で使用されたが,江戸時代に入って一般化した。なお今日では包装紙にあらかじめ水引を印刷して簡略化したものも多く使用されている。

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百科事典マイペディアの解説

水引【みずひき】

紙縒(こより)に糊水をひいて干し固めたもの。古くは元結(もとゆい)にも用いたが,多くは進物の包みにかけて結ぶのに用いる。半分ずつ染め分けることが多く,通常は紅白,金銀,金紅,凶事には黒白,藍白,または白一色。薄色を向かって左においてかける。結び方は種々あるが,両端は切り取らないのが普通。
→関連項目元結紙

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世界大百科事典 第2版の解説

みずひき【水引】

進物用の包紙などを結ぶさいに用いる紙製の糸。和紙を縒(よ)って長いこよりをつくり,これに米のりを引いて乾かし,普通は5本並べて中央の部分をはりつけてつくる。水引の名は〈水のりを引くこと〉に由来するという。進物に白紙をかけ,水引で結んでのしをつける礼法は,室町時代に盛んになり,江戸時代に形をととのえたが,中の物品の種類や目的(吉凶)によって水引の色の配置や結び方を変えるようになった(図)。色はもとは白一色であったが,しだいに左右半分ずつに分けて,金銀,紅白,黒白などに染め分けた。

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