自判(読み)ジハン

デジタル大辞泉 「自判」の意味・読み・例文・類語

じ‐はん【自判】

自分印判を押したり花押かおうを書いたりすること。また、その印や花押。「自署自判
歌合わせなどで、自作の歌や自分が関係した歌の判をすること。
上級裁判所原判決を取り消しまたは破棄したうえ、事件原審に差し戻さずに、みずから判決をすること。「破棄自判

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精選版 日本国語大辞典 「自判」の意味・読み・例文・類語

じ‐はん【自判】

〘名〙
① 自身で印判をおすこと。あるいは、花押(かおう)を書くこと。また、その印や花押。
太平記(14C後)三六「自筆・自判の願書
② 歌合などで、自分の作った歌や自分が関係した歌の判をすること。
八雲御抄(1242頃)二「物合次歌合〈略〉義忠自判」
民事および刑事裁判で、上級審の裁判所が原判決を破棄したのち、事件を原裁判所に差し戻さないで、みずから判決を言い渡すこと。破棄自判

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改訂新版 世界大百科事典 「自判」の意味・わかりやすい解説

自判 (じはん)

上訴裁判所が原裁判を破棄した後,事件についてみずから裁判をすること。この自判ができるのは,事件を原裁判所へ差し戻してその事件についてあらためて事実審理をさせる必要がない場合に限られる。上訴裁判所のうち,民事訴訟控訴裁判所は,みずからも事件について事実審理をすることができるので(事実審),この自判をするのが原則となるが,民事訴訟の上告裁判所刑事訴訟控訴および上告裁判所は,事実審理をする範囲がごく限られているので(法律審事後審),この自判を行うこともまれとなる。しかし,これらの裁判所でも,原裁判所のした事実認定前提として,ただ事件に適用される法律判断の誤りを修正することなどは,自判によっても行うことができる(民事訴訟法326条,刑事訴訟法400条但書,413条但書)。
事実審・法律審 →上訴
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世界大百科事典(旧版)内の自判の言及

【控訴】より

…控訴棄却の判決は,控訴人の不服に理由がない場合だけでなく,第一審の判決理由が不当でその意味では不服に理由があっても,第一審判決の結論自体は他の理由から維持できる場合にも下される(302条2項)。また控訴認容の判決においては,控訴裁判所は第一審判決を取り消したうえで(305条,306条),訴えについてみずから裁判をする(取消自判)のが原則であるが,事件を第一審に差し戻したり(取消差戻し。307条,308条),事件を管轄裁判所に移送したり(取消移送。…

【判決】より

…これらのうち,どれがどの上訴において理由としうるかについては〈控訴〉〈上告〉の項を参照されたい。 破棄,自判,差戻し,移送破棄とは,民事訴訟の上告審または刑事訴訟の控訴審・上告審が,原審の判決を取り消すことをいう(民事訴訟の控訴審では,単に取消しという)。自判とは,下級審の判決を破棄しまたは取り消した上訴審が,みずから事件について審理・判決をすることをいい,差戻しは,同様に下級審の判決を破棄しまたは取り消した上訴審が,自判せずに,事件を下級審に再審理させるために送り返すことをいう。…

※「自判」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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