三審制の下で、第一審の当事者による控訴に基づき第二審(控訴審)の裁判を担当する裁判所。第一審である地方裁判所の判決、家庭裁判所の判決、および、簡易裁判所の刑事に関する判決に対して控訴があった場合には、管轄を有する高等裁判所が控訴裁判所である(裁判所法16条1号)。簡易裁判所における刑事以外の判決に対して控訴があった場合には、管轄を有する地方裁判所が控訴裁判所である(同法24条3号)。
控訴裁判所は、第一審裁判所と同様の事実審裁判所であり、事実審理(当事者の主張に基づく事実の審理・認定および証拠の取調べ)を行い、当事者の主張の当否を改めて判断する裁判所といえる。このように事実審理という面では第一審手続と控訴裁判所における手続は控訴がなされたことにより継続しているわけで、第一審手続で提出された資料(当事者の主張・証拠)の効力も控訴裁判所の手続において維持されるとともに、控訴裁判所の審理においても新たな主張や証拠を提出することができる(続審制)。控訴裁判所は、第一審裁判所で提出された資料と控訴裁判所において新たに提出された資料に基づき改めて判決をする。
控訴裁判所は、審理の結果、第一審判決が正当と判断すれば控訴を棄却する(民事訴訟法302条1項)。第一審判決が不当で控訴に理由があると認めるとき(同法305条)、あるいは第一審の判決の手続が法律に違反するときは(同法306条)、第一審判決を取り消して、控訴裁判所自ら判決をするか(原判決取消し・自判)、第一審裁判所に差し戻して審理をやり直させる(同法307条・308条)。なお、第一審裁判所の判決を専属管轄の違反があることを理由として取り消す場合には、控訴裁判所はその事件の判決をした第一審裁判所に差し戻すことなく、直接に管轄権を有する第一審裁判所に移送する(同法309条)。
[加藤哲夫 2017年1月19日]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…主たる法源はコモン・ロー,衡平法,議会制定法であるが,議会制定法の比重は着実に増し,先例の拘束力も近年緩和されつつある。イングランドの刑事訴訟を例にとれば,刑事事件の9割以上が,通例法的専門資格のない3名程度の治安判事からなる治安判事裁判所Magistrates’ Courtで,残りの重大犯罪が1971年に発足した刑事裁判所Crown Courtで扱われ,両法廷からの控訴は控訴裁判所Court of Appealの刑事部でなされる。司法制度は法の支配の中心として高い威信と自律を享受し,素人判事や陪審員制などの伝統を残している半面,訴訟費用の国家扶助(1949導入)や死刑廃止(1965)などの改革も進められてきた。…
※「控訴裁判所」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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