四万六千日(読み)シマンロクセンニチ

デジタル大辞泉 「四万六千日」の意味・読み・例文・類語

しまんろくせん‐にち【四万六千日】

7月10日観世音菩薩縁日。この日に参詣すると、四万六千日参詣したほどの功徳くどくがあるという。東京浅草寺では境内ほおずき市が立つ。 夏》風鈴ふうりんの―の音/万太郎

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精選版 日本国語大辞典 「四万六千日」の意味・読み・例文・類語

しまんろくせん‐にち【四万六千日】

  1. 〘 名詞 〙 仏語。観世音地蔵菩薩の縁日。この日にお参りすると四万六千日の間お参りしたのと同じ功徳があるという。七月一〇日の浅草寺の縁日、六月二四日の愛宕祭(あたごまつり)などが有名。千日参り。四万。《 季語・夏‐秋 》
    1. [初出の実例]「観音欲日 七月十日 向四万六千日、八月二十四日 向四千日」(出典:江戸鹿子(1687)二)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「四万六千日」の意味・わかりやすい解説

四万六千日
しまんろくせんにち

東京都台東区浅草寺本尊である観世音菩薩縁日のうち,特に多くの功徳が得られるとされる功徳日のことで,毎年 7月9,10日がその日にあたる。もとは「千日詣り」といい,本来はこの日に参詣すると 1000日参詣したのと同じ功徳が得られるとされていたが,享保年間(1716~36)頃から 4万6000日参詣したのと同じ功徳があるとされ,「四万六千日」と呼ぶようになった。縁日には浅草寺が雷よけの護符を配り,境内に「ほおずき市」が立つ。ではかつてはホオズキではなく茶筅(ちゃせん)が売られていたという。それが文化年間(1804~18)頃に雷よけとして赤トウモロコシが売られるようになり,明治初期に愛宕神社の地蔵尊千日詣(四万六千日)で癪封じや子供の虫封じ効能があるとして売られていたホオズキの市が移ってきて,明治末期には赤トウモロコシを売る店はほとんど姿を消した。寺が配る雷よけの護符は,明治初期に赤トウモロコシが凶作となったときに代わりとして出されたのが始まりと伝えられる。

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改訂新版 世界大百科事典 「四万六千日」の意味・わかりやすい解説

四万六千日 (しまんろくせんにち)

この日に参詣すると4万6000日参詣したのと同じ功徳があるという縁日のこと。この4万6000日という数字の由来は不明である。東京浅草(せんそう)寺の7月10日(現在は8,9日)の縁日がとくに著名。この称は江戸時代になって浅草寺で用いられたもので,享保20年(1735)版の《続江戸砂子》に見えている。それまでは浅草寺でも千日参りといわれていた。《閭里歳時記》(安永9年(1780)の序)には〈石原清水寺の観音四万六千日参といふ事あり〉とあって,だんだん広まっていった様子がうかがわれる。この日には浅草寺では寛政のころまでは茶筅,文政のころまでは附子(ぶす)の粉が売られた。そして文化の末ころから雷除け玉蜀黍(とうもろこし)売がはじまり,今はほおずき市が有名である。関西では月遅れの8月9,10日が観音の縁日,千日詣の日となっている。京都清水寺がよく知られている。また,関西では8月9日を盂蘭盆会(うらぼんえ)と関係させ,ココノカビといい,先祖迎えをする日ともなっている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「四万六千日」の意味・わかりやすい解説

四万六千日
しまんろくせんにち

社寺の縁日の一つで、この日に参詣(さんけい)すると4万6000日お参りしただけの功徳(くどく)があるとされている。元禄(げんろく)時代(1688~1704)ごろから始まったといわれる。有名なのは東京・浅草(あさくさ)の観音(かんのん)(浅草寺(せんそうじ))で7月10日を四万六千日と称し(現在は9日のほおずき市から)、この日の参詣者に赤トウモロコシを売り出した。これを買って帰ると雷除(よ)けになるとされた。のちには茶袋やホオズキを売るようになった。関西地方では古くから千日参りということが京都の清水寺(きよみずでら)(8月9~16日)や大阪の四天王寺(8月9、10日)などで行われていたが、今日では千日参りという言い方で四万六千日の縁日を行っている例もみられるようになった。

[大藤時彦]

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百科事典マイペディア 「四万六千日」の意味・わかりやすい解説

四万六千日【しまんろくせんにち】

十日詣(とおかまいり)とも。7月10日の観音菩薩の縁日。この日参詣(さんけい)すれば四万六千日参詣したと同じ功徳があるという。東京の浅草観音のものが有名で,千日詣ともいわれ,境内にはホオズキ市が立ち,観音堂では竹串(たけぐし)にはさんだ雷除(よけ)守りを出す。鎌倉の長谷観音,千葉県の笠森観音などでも四万六千日の行事が行われる。
→関連項目ほおずき(酸漿)市

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世界大百科事典(旧版)内の四万六千日の言及

【縁日】より

…それが縁日で,縁とは,〈結縁(けちえん)〉または〈有縁(うえん)〉あるいは〈因縁(いんねん)〉のことで,特定の仏菩薩が,特定の日に,特別に霊験あらたかになるように信者の祈願と結びつくのである。たとえば7月10日は観音の四万六千日(しまんろくせんにち)といって,この日に参詣すれば,その功徳は,4万6000回参詣したのと同じになると説かれたりしている。中国仏教では,10世紀初頭に,寺院で縁日がそれぞれ配当されていた事実があったらしいがくわしくはわからない。…

※「四万六千日」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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