千葉県山武(さんぶ)郡芝山町から横芝光(よこしばひかり)町にかけて400基以上の古墳が分布するが、そのうちの横芝光町中台(なかだい)にある国指定史跡の殿塚(とのづか)・姫塚(ひめづか)とその周辺の15基の円墳群をさす。殿塚・姫塚は1956年(昭和31)早稲田(わせだ)大学によって発掘調査され、墳丘からともに多くの形象埴輪(はにわ)を出土したことで注目された。殿塚は全長86メートル、二重の周湟(しゅうこう)をもって西面する前方後円墳で、後円丘南側に両袖(そで)型横穴式石室があり、玉類、金銅(こんどう)製鈴、銅鋺(どうわん)、直刀(ちょくとう)(頭椎大刀(かぶつちのたち)を含む)、金環などが出土した。姫塚は全長58.5メートル、周湟をもち西面する前方後円墳で、殿塚の北30メートルに位置する。前方丘南側に横穴式石室があり、玉類、金銅製飾金具、方頭大刀、金環、馬具類、土師(はじ)器、須恵(すえ)器、鉄鏃(てつぞく)などが出土した。墳丘南側に朝顔形円筒埴輪と円筒埴輪を立て、低地に面した北側墳丘中段に男性1、馬と馭者(ぎょしゃ)各4、武人2、男性群、女性5、男性群の順序に埴輪列がみられ、行列の少し上段から琴を膝(ひざ)に置く人物埴輪、墳丘裾(すそ)にひざまずく男の埴輪がある。形象埴輪群が原位置に完存したまれな例であり葬送儀礼研究の重要資料である。両古墳とも7世紀の築造。埴輪や出土遺物は芝山仁王尊(におうそん)内のはにわ博物館に陳列されている。
[久保哲三]
千葉県山武郡芝山・横芝光両町を中心に分布する古墳および古墳群の総称。木戸・高谷両川流域の低丘陵上に築かれ,400基以上を数える。多数の小円墳と若干の前方後円墳とからなる。群中の盟主級の古墳として,殿塚古墳,姫塚古墳がある。両墳は近接して営まれ,ともに西面する。1956年滝口宏によって発掘された。殿塚古墳は,全長86m,後円部径51m,前方部幅58mをはかり,周濠が二重にめぐる。後円部に横穴式石室を有し,副葬品として玉類,耳環,銅鋺(かなまり),刀,鏃などの出土をみた。姫塚古墳は,全長58.5m,後円部径35m,前方部幅35mをはかり,一重の周濠をそなえる。前方部で横穴式石室を発見し,玉類,耳環,刀,鏃,馬具,須恵器などの副葬品を検出した。両墳とも葺石(ふきいし)を欠くが,墳丘には各種の埴輪が囲繞(いによう)する。発掘によって囲繞の実体が復元され,6~7世紀代の埴輪の研究に大きく寄与した。
執筆者:川西 宏幸
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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