( [ラテン語] Ars longa, vita brevis の訳 ) 古代ギリシアの医者ヒポクラテスの言葉。もと、人の一生は短いが、医術は深遠でなかなかきわめがたいものであるから、医を学ぶ者は怠らず励むべきであるという教えの意。転じて、人間の命は短いが、すぐれた芸術作品は作者が死んだのちもながく残るものであるから、芸道に精進すべきであるの意に用いるようになった。
[由来] 紀元前五~四世紀のギリシャで活躍した、医学の祖とされるヒポクラテスのことばから。紀元前三世紀ごろに編纂された「ヒポクラテス全集」によって伝えられています。もともとは、医学は極めがたいので、学ぶ者は怠らず励まなければならない、という意味でしたが、後に、さまざまな専門的技芸や芸術についても使われるようになりました。日本でも、古くは文政三(1820)年に長崎出島で上演された「阿蘭陀俄芝居狂言」の舞台正面に、ラテン語(Ars longa, vita brevis.)で掲げられたことが、当時の絵画などで確認できます。