苅萱堂（読み）カルカヤドウ

デジタル大辞泉

かるかや‐どう〔‐ダウ〕【苅萱堂】

長野市北石堂町、西光寺にある堂。苅萱道心と、その子石童丸が、父子2代にわたって修行をつんだとされる。和歌山県高野山にもある。

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

かるかや‐どう‥ダウ【苅萱堂】

1. 長野市南長野北石堂町、西光寺にある堂。苅萱道心の修行の跡を石童丸が訪ねきて、彼もそこで修行をつんだという。同市の往生寺にも同じ伝えがある。

出典　精選版 日本国語大辞典

日本歴史地名大系

苅萱堂
かるかやどう

• 和歌山県：伊都郡
• 高野町
• 高野山
• 往生院谷
• 苅萱堂

[現在地名]高野町高野山

往生院（おうじよういん）谷の南側東端、地蔵院の南にあり、現在密厳（みつごん）院が管理する。本尊は親子地蔵尊とする。近世は安養（あんよう）寺成仏（じようぶつ）院と総称される聖方の寺で、「続風土記」は「聖方の支配なり、後深草山安養寺といふ、此中に七箇院あり」とし、密厳院・福生（ふくしよう）院・寿量（じゆりよう）院・如来蔵（によらいぞう）院・上池（じようち）院・千蔵（せんぞう）院・福寿（ふくじゆ）院・善福（ぜんぷく）院をあげて「以上八箇院を萱堂安養寺といふ」と記す。一方、聖方の諸院を詳述した部では「勅願所後深草山安養寺成仏院」としてそれぞれの院を詳述するが、安養寺成仏院については本堂（本尊千手観音）・御影堂・多宝塔・鎮守三社・経堂・護摩堂・鐘楼門および各院全体の総門を記す。

出典　平凡社「日本歴史地名大系」

改訂新版　世界大百科事典

苅萱堂 (かるかやどう)

和歌山県の高野山往生院谷にあり，密厳院に属する。いまも苅萱道心と石童丸の唱導をするので知られ，その旧跡とされている。密厳院は新義真言宗の開祖，覚鑁（かくばん）（興教大師）の念仏堂であったが，そのまわりに念仏の高野聖（ひじり）があつまり，その中心に萱堂（かやんどう）ができて萱堂聖と称せられた。鎌倉時代中期にこの萱堂聖の中心となった人物は，臨済宗興国寺派の祖心地覚心（法灯国師）であった。この一派は唱導を得意とし，なかでも苅萱物語の懺悔発心談をレパートリーにしたので，萱堂は苅萱堂と呼ばれるようになった。しかし萱堂は萱原の中で萱を引き結んで草庵を作ったことから名付けられたもので，苅萱物語の筑紫国の苅萱荘とは関係がない。この物語では苅萱荘の藤原重氏が発心して高野山に入り，苅萱道心円空となり，その子石堂磨も入道して道念と称し，父子ともども念仏にはげんだという。もちろんこれはフィクションにすぎないけれども，高野山の女人禁制をたくみに織り込んだ発心談として人口に膾炙（かいしや）し，苅萱堂の名を天下に高からしめた。この堂はのちに後深山安養寺成仏院となったが，現在は密厳院の中に包摂されている。
→石童丸
執筆者：五来 重

出典　株式会社平凡社「改訂新版　世界大百科事典」

世界大百科事典（旧版）内の苅萱堂の言及

【高野山】より

…この谷の北側西端には，高野山真言宗の総本山である金剛峯寺がある(なお金剛峯寺という名は，本来は高野山一山の総称であった)。また往生院谷の南側にある苅萱堂（かるかやどう）は，中世には高野聖の一派である萱堂聖の本拠地であった。　奥之院は高野山の東部にあり，空海の廟を中心とする霊域で，弘法大師信仰の聖地である。…

※「苅萱堂」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」