出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
奈良県奈良市東部,東大寺の東にある山。標高342m。嫩草山とも書く。全山が芝草でおおわれ,山容が三重になっているため俗に三笠山と呼ばれ,南にある春日山の一峰御蓋(みかさ)山(三笠山)と混同されることが多かった。三笠火山群に属し,凝灰岩の間に安山岩が噴出,のち浸食をうけた二次的な溶岩丘で,奈良盆地を一望のもとに見下ろす山頂には鶯塚古墳(史)がある。全長約103mの前方後円墳で,能因本《枕草子》にみえる〈うぐひすのみささぎ〉にあてる伝えがあった。毎年1月15日に行われる山焼きは,奈良の代表的な年中行事として著名。15日夕刻,東大寺,興福寺の僧が山麓の野山神社で祭儀を行ったのち,春日の神火を松明(たいまつ)に移して山の四周から火を放つ。両寺の境界争いに端を発する行事との伝えもあるが,若草の萌(も)えるのを促す春先の枯草焼きの風習ともいう。
執筆者:高橋 誠一
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