三笠山(読み)ミカサヤマ

デジタル大辞泉 「三笠山」の意味・読み・例文・類語

みかさ‐やま【三笠山/御蓋山】

奈良市市街地の東にある春日かすが大社後方の山。若草山の南にあり、春日山の西峰をなす。標高282メートル。若草山をさしていうことも多い。みかさのやま。[歌枕]
天皇かさとしてそば近くで警衛にあたる意をかけて》近衛このえ大将・中将・少将異称。みかさのやま。

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精選版 日本国語大辞典 「三笠山」の意味・読み・例文・類語

みかさ‐やま【三笠山・御蓋山】

  1. [ 1 ] 奈良市東部の山。奈良公園の背後にあり、ふもとに春日大社や春日若宮がある。東側の花山・芳山(はやま)とともに春日山と総称され、原生林におおわれる。標高二九三メートル。歌枕。みかさのやま。御笠山。
    1. [初出の実例]「御笠山(みかさやま)野辺行く道はこきだくも繁り荒れたるか久にあらなくに」(出典:万葉集(8C後)二・二三二)
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙
    1. ( 天皇の御かさとなってそば近くで警衛にあたる意をかけて ) 近衛(このえ)の大将、中将、少将などの称。和歌に多く用いる。みかさのやま。
      1. [初出の実例]「大后の宮、天の下にみかさやまと戴かれ給ひ〈略〉行末頼しき事」(出典:栄花物語(1028‐92頃)駒競の行幸)
    2. どら焼の一種。元来は、東京の梅花亭の創製で、ひき茶を入れた餡(あん)をはさんだものをいった。皮のふくらみが[ 一 ]のなだらかな稜線に似ているところからこの名が生じた。

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日本歴史地名大系 「三笠山」の解説

三笠山
みかさやま

富田とだ八幡宮の鎮座する八幡はちまん(勝日山)の北西方にあり、標高二一八・一メートル。祖父谷おじだにの入口を扼する要衝で、がつ富田城を取巻く周辺の支城の一つがあり、尼子十砦のなかに数えられた。「陰徳記」(出雲国布部合戦之事)に元亀二年(一五七一)二月尼子方に参加した諸将の一人として「三笠ノ城ヨリ中尾弾正忠五百余騎ニテ馳加ル」とある。尼子家臣の山中鹿介が「願くは我に七難八苦を授け給え」と祈念した三日月は、この山に懸かる上弦の月と伝えている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「三笠山」の意味・わかりやすい解説

三笠山
みかさやま

奈良市の市街地東方にある山。標高293メートル。御蓋山(みかさやま)とも書く。若草山の南側、春日山(かすがやま)の西峰で、原始林に覆われ、蓋(笠)を伏せたような山容からその名がある。山体は主として三笠山安山岩(両輝石安山岩)からなるが、旧火山ではなく、火山岩が侵食に耐えて残存したものである。かつて若草山と混同された。山頂に本宮神社と七本杉があり、西側中腹に国指定天然記念物のナギ樹林がある。古歌に多く詠まれ、とくに阿倍仲麻呂(あべのなかまろ)の「天の原ふりさけ見れば春日なる三笠の山に出(い)でし月かも」(『古今集』巻9)は有名である。

[菊地一郎]

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百科事典マイペディア 「三笠山」の意味・わかりやすい解説

三笠山【みかさやま】

奈良県奈良市街東部にある山。御蓋山とも。標高297m。西麓に春日大社がある。古くから背後の春日山とともに春日大社の境内に属し伐採を禁じられていたため,原始林におおわれている。若草山を三笠山と呼ぶこともあるため,混同された。

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デジタル大辞泉プラス 「三笠山」の解説

三笠山

東京都中央区日本橋に本店を置く菓子店、文明堂東京が製造・販売するどら焼き。同社の登録商標。高級ラインの「黄金(こがね)三笠山」もある。

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世界大百科事典(旧版)内の三笠山の言及

【御蓋山】より

…標高293m。三笠山,御笠山とも書き,春日山の前山で,この山自体を春日山ともいう。笠を伏せたような山容をしていることからこの名がある。…

【若草山】より

…嫩草山とも書く。全山が芝草でおおわれ,山容が三重になっているため俗に三笠山と呼ばれ,南にある春日山の一峰御蓋(みかさ)山(三笠山)と混同されることが多かった。三笠火山群に属し,凝灰岩の間に安山岩が噴出,のち浸食をうけた二次的な溶岩丘で,奈良盆地を一望のもとに見下ろす山頂には鶯塚古墳(史)がある。…

【和菓子】より

…(4)焼物 平なべ,オーブンなどを用いて焼くもので,南蛮菓子系統のカステラやボーロのほか,きんつば,どら焼き,桃山(ももやま),茶通(ちやつう),唐(とう)まんじゅう,栗まんじゅう,調布(ちようふ)などがある。どら焼きは小麦粉に鶏卵,砂糖などを合わせてカステラ様の円形の厚い皮を焼き,その皮を2枚使ってあんをはさんだもので,三笠山と呼ぶこともある。桃山は白あんに卵黄,みじん粉(乾飯をいって粉末にしたもの)などを加えて練り,木型で成形してオーブンで表面を焼く。…

※「三笠山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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