(読み)カラムシ

デジタル大辞泉 「苧」の意味・読み・例文・類語

から‐むし【×苧/×枲/苧麻】

イラクサ科多年草原野にみられ、高さ1~2メートル。茎は木質。葉は広卵形で先がとがり、裏面が白い。夏、淡緑色小花穂状につける。茎から繊維をとって織物にする。真麻まお。ちょま。 夏》

むし【×苧/枲麻】

植物カラムシのこと。
七夕に今日やかすらむ野辺ごとに乱れ織るなる―の衣も」〈右京大夫集

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精選版 日本国語大辞典 「苧」の意味・読み・例文・類語

から‐むし【苧・紵・&JISF3CB;・&JISEE47;・苧麻】

  1. 〘 名詞 〙
  2. イラクサ科の多年草。本州、四国、九州の原野に生え、畑にも栽培される。茎はやや木質化し、高さ一~一・五メートル。茎、葉柄ともに白色の短毛を密生する。葉は互生し長さ八~一五センチメートルの広卵形で先端がとがり縁に鈍い歯牙がある。夏から秋にかけ、葉腋(ようえき)に淡緑色の単性花をまばらにつける。雌雄同株。茎から繊維をとる。ナンバンカラムシはこれに近似し、東南アジアに分布し、日本でも栽培され、ラミーはその変種マオ。しろう。ひうじ。ころもぐさ。苧麻(ちょま)。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「詔して、天の下をして桑、紵(カラムシ)、梨、栗、蕪菁(あをな)等の草木を勧め殖ゑ令む」(出典:日本書紀(720)持統七年三月(北野本訓))
  3. の茎から製した繊維。からむしのお。また、それで織った布。越後縮(えちごちぢみ)、越後上布、薩摩上布、奈良晒(ならざらし)など。
    1. [初出の実例]「狩装束。褐布帯。狩袴。狩胡籙(かりやなぐひ)。葈脛巾(カラムシはばき)」(出典:東宮冠礼部類記‐久寿二年(1155)一二月九日)

むし【苧・&JISEAA7;】

  1. 〘 名詞 〙 植物「からむし(苧)」の異名
    1. [初出の実例]「たなはたにけふやかすらむ野辺ごとにみだれおるなるむしのころもも」(出典:建礼門院右京大夫集(13C前))

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動植物名よみかた辞典 普及版 「苧」の解説

苧 (カラムシ・オ;ムシ)

学名Boehmeria nivea
植物。イラクサ科の多年草,薬用植物

苧 (カラムシ)

植物。クワ科一年草,薬用植物。アサ別称

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【タイマ(大麻)】より

…繊維は織物,ロープ,漁網などに使う。アサ(タイマ)を古くは〈苧(お)〉と呼んだが,皮をはいだ茎は苧殻(麻幹)(おがら)と呼び,お盆の迎え火,送り火をたくのに用い,供物に添える苧殻ばし(箸)とする。種子は苧実(おのみ)すなわち麻実で,薬味として使い,七味唐辛子に入れられている。…

※「苧」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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