狩装束(読み)カリショウゾク

デジタル大辞泉 「狩装束」の意味・読み・例文・類語

かり‐しょうぞく〔‐シヤウゾク〕【狩装束】

公家くげが狩りに出るときの装束。普通は狩衣かりぎぬ狩袴かりばかまを着た。
平安末期から、武士が狩りをするときの装束。水干または直垂ひたたれをつけ、行縢むかばきをはき、綾藺笠あやいがさあるいは竹笠かぶり太刀腰刀を身につけ、籐巻とまきの弓や野矢を携えた姿。

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精選版 日本国語大辞典 「狩装束」の意味・読み・例文・類語

かり‐しょうぞく‥シャウゾク【狩装束】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 狩に出る時の装束。普通は狩衣狩袴を着た。
  3. 平安末期から、武士が狩をする時の装束。狩衣、水干または直垂(ひたたれ)を着け、行縢(むかばき)をはき、綾藺笠(あやいがさ)あるいは竹笠をかぶり、太刀腰刀を佩用、矢などを所持する姿。かりそうぞく。
    1. 狩装束<b>②</b>〈石山寺縁起絵〉
      狩装束〈石山寺縁起絵〉
    2. [初出の実例]「かりしゃうそくしたる武士、十四五騎行あひたてまつる」(出典:中院本平家(13C前)一〇)
    3. 「和田の義盛かりしゃうぞく、たかすへて御供なり」(出典:幸若・夜討曾我(室町末‐近世初))
  4. 召具の装束。冠、褐衣(かちえ)、狩袴、葈脛巾(いちびはばき)などからなる姿。
  5. 女子の遠行の時の装束。
    1. 狩装束<b>④</b>〈石山寺縁起絵〉
      狩装束〈石山寺縁起絵〉
    2. [初出の実例]「武士等関東の命に任て前後を加護し奉る。次に准后于時三位局。其外狩装束の女房。馬上にて両三人。殿上人には六条少将忠顕〈略〉一人閑道を供奉す」(出典:梅松論(1349頃)上)

かり‐そうぞく‥サウゾク【狩装束】

  1. 〘 名詞 〙かりしょうぞく(狩装束)
    1. [初出の実例]「しのびてかよひ侍ける女のもとより、かりさうそくおくりて侍けるに、すれるかりぎぬ侍けるに」(出典:後撰和歌集(951‐953頃)恋二・六七九・詞書)

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改訂新版 世界大百科事典 「狩装束」の意味・わかりやすい解説

狩装束 (かりしょうぞく)

狩衣(かりぎぬ)装束のこと。〈かりそうぞく〉ともいう。また狩の御衣(おんぞ)ともいった。中世以後,狩衣が一般の服装になったため,とくに鷹狩武家狩猟の装束をいうこともあった。鷹狩など中古の装束では,狩衣,腹纏(はらまき),小手(こて),行縢(むかばき),草鞋(わらぐつ)などからなり,武家の狩猟では直垂(ひたたれ)に行縢をつけ野太刀,綾藺笠(あやいがさ)の装束をさした。
狩衣
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「狩装束」の意味・わかりやすい解説

狩装束
かりしょうぞく

狩猟の際に用いる装束のこと。鎌倉時代の典型例では,萎烏帽子 (なええぼし) に綾藺笠 (あやいがさ) をかぶり,直垂 (ひたたれ) を着,行騰 (むかばき) と呼ぶ腰から脚部をおおう毛皮を着け,尻鞘 (しりざや) と呼ぶ毛皮の袋でおおった野太刀を帯びている。

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世界大百科事典(旧版)内の狩装束の言及

【狩装束】より

…狩衣(かりぎぬ)装束のこと。〈かりそうぞく〉ともいう。また狩の御衣(おんぞ)ともいった。中世以後,狩衣が一般の服装になったため,とくに鷹狩や武家の狩猟の装束をいうこともあった。鷹狩など中古の装束では,狩衣,腹纏(はらまき),小手(こて),行縢(むかばき),草鞋(わらぐつ)などからなり,武家の狩猟では直垂(ひたたれ)に行縢をつけ野太刀,綾藺笠(あやいがさ)の装束をさした。狩衣【日野西 資孝】…

※「狩装束」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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