華厳縁起(読み)ケゴンエンギ

デジタル大辞泉 「華厳縁起」の意味・読み・例文・類語

けごんえんぎ【華厳縁起】

鎌倉前期の絵巻。6巻。新羅しらぎ華厳宗の開祖元暁げんぎょう義湘ぎしょう両大師の伝記を描いたもの。華厳宗祖師絵伝

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精選版 日本国語大辞典 「華厳縁起」の意味・読み・例文・類語

けごんえんぎ【華厳縁起】

  1. 鎌倉時代作の絵巻物。六巻。紙本着色。恵日坊成忍筆(推定)。朝鮮に華厳宗を起こした義湘(ぎしょう)元暁(げんぎょう)の事跡を描いたもの。切れのよい筆線とさわやかな彩色をもつ。京都高山寺蔵。国宝。華厳宗祖師絵伝。

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改訂新版 世界大百科事典 「華厳縁起」の意味・わかりやすい解説

華厳縁起 (けごんえんぎ)

華厳宗祖師絵巻》ともいわれる。7世紀の半ば,唐に渡り華厳宗を新羅に伝えた2人の祖師,義湘(ぎしよう)と元暁の行業を描く絵巻。制作は13世紀前半。義湘絵4巻,元暁絵2巻からなっていたが,現在は各3巻に仕立てられ錯簡や欠失も少なくない。鎌倉時代初頭に南都の古宗である華厳宗を復興した高山寺の明恵は,2人の祖師を深く尊崇し,みずからこの物語をつくり,側近の画家に描かせた。義湘絵は入唐した義湘に対する美女善妙の献身的な愛を中心とし,唐土で教学を修め帰国する義湘を追う善妙が最後に海中に身を投じ,巨大な竜に変じて義湘の船を守護する場面はドラマティックな流動感にあふれている。一方,元暁絵は,悟るところがあって渡唐途中で引き返し,山中や市井に自適して修行する元暁の行状を描く。画風は,義湘絵が構図法や暢達した筆致に本格的な職業画家による画技をうかがわせるのに対し,元暁絵は素朴な詩情満ち,明恵に近侍した成忍(じようにん)の筆と一致するように思われる。いずれも前代の絵巻に比べ,構成や描線新風が感じられ,中国の風俗描写も的確で,高山寺を中心として広まりつつあった宋文化との接触による宋画の影響も考えられる。高山寺蔵。
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百科事典マイペディア 「華厳縁起」の意味・わかりやすい解説

華厳縁起【けごんえんぎ】

華厳宗祖師絵伝とも。鎌倉初期の絵巻。6巻。華厳宗を唐から新羅に伝えた元暁・義湘両僧の伝記。長い連続的構図を用い,画面の流れが流暢(りゅうちょう)。動的表現をとらえる自由な描線と淡彩の画風が特徴明恵が詞を作成し,絵は画僧恵日房成忍筆と伝えられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「華厳縁起」の意味・わかりやすい解説

華厳縁起
けごんえんぎ

華厳宗祖師絵伝

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