中国の新文学を代表する作家の一人。字は聖陶,葉聖陶と呼称されることも多い。江蘇省蘇州の人。文学研究会会員。手法は堅実な写実主義で,代表作の長編小説《倪煥之(げいかんし)》(1930)は,新しい文化に接した青年小学教師倪煥之が,封建的な中国の現実とぶつかりながら,五・四運動を経て1927年の大革命失敗までをどのように生きたかを描き,当時出口のない状況にあった青年たちの共感を得た。また《稲草人(かかし)》(1923),《古代英雄の石像》(1933)などの童話は中国児童文学の草創でもある。作家活動のほか《小説月報》《婦女雑誌》《中学生》等を編集し新しい作家の発掘につとめ,語文教育の面でも活躍した。中華人民共和国になってからは教育部副部長,人民教育出版社社長をつとめ,全人代常務委員,政協常務委員,全国文聯委員などの職にある。文学的著作は単行本のほか《葉聖陶文集》全3巻(1958)にまとめられている。
執筆者:中島 長文
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中国の作家。字(あざな)は聖陶。江蘇(こうそ)省蘇州に生まれる。7歳で私塾に学び顧頡剛(こけつごう)、郭紹虞(かくしょうぐ)らを知る。1911年草橋中学卒業後、小中学校教師となり、23年より商務印書館、30年末より開明書店に勤める。中学在学中から創作を始め、19年「新潮」社社員、21年文学研究会発起人の一人となる。『小説月報』代理主編(1927~29)、『婦女雑誌』『中学生』主編を務める一方、教科書編集、童話の創作・編集に尽力。抗日戦前後、武漢大学教授、文学協会理事、解放後は教育部副部長、のち中国文連委員。五・四運動の時代を背景に青年教師の夢と幻滅を描いた長編『倪煥之(げいかんし)』(1928。邦訳『小学教師』)が代表作。ほかに、童話『稲草人』(1922)等多数の著がある。解放後『葉聖陶文集』5巻(1957)が出版された。
[白水紀子]
『竹内好訳『小学教師』(1952・筑摩書房)』
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…しかし,子どものための文学の意識的な創造は,第1次世界大戦後,中国に反帝反封建の運動がもりあがり,文学革命が進んでからのことである。葉紹鈞(ようしようきん)の《稲草人(かかし)》(1922)は,中国ではじめての近代童話であり,魯迅(ろじん)はこの作品を〈中国の童話のために一すじの創作の道をひらいてくれた〉と高く評価した。魯迅も,中国の児童文学の発展のために外国の作品を翻訳し,また民話・古典など民族の文化遺産の生かし方に指導的な役割を果たした。…
※「葉紹鈞」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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