蕨市(読み)ワラビシ

デジタル大辞泉 「蕨市」の意味・読み・例文・類語

わらび‐し【蕨市】

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日本歴史地名大系 「蕨市」の解説

蕨市
わらびし

面積:五・一〇平方キロ

県南東部に位置し、北は浦和市・川口市、東は川口市、西・南は戸田市に接する。地形は平坦だが、荒川(旧入間川)の自然堤防と後背湿地とからなり、標高は四―六メートルである。東部をJR京浜東北線が南東から北へ走り、北端に蕨駅がある。西部を南から北西へ国道一七号が旧中山道と二ヵ所で交差しながらほぼ並行して縦貫する。

〔原始・古代〕

自然堤防上は古くから開発が進められたと考えられ、近年の宅地開発の急速な進行により、遺跡発見の可能性が指摘されている。平成五年(一九九三)中央ちゆうおう二丁目で行われた試掘で、四世紀のものと思われる土器片約四〇個が見つかった。塚越つかごし三丁目の稲荷社の鎮座している塚を古墳とする説が古くからあるが(風土記稿)、未調査であるため伝説の域を出ない。律令制下では足立郡に属し、「和名抄」の同郡大里おおさと郷に含まれたとされる。平安中期頃から法華田ほつけだ地域(現錦町三―六丁目を中心とする地域)微高地を中心に村山党金子氏の一族による開発が進められたと伝える(新編若葉の梢)

〔中世〕

観応三年(一三五二)六月二九日渋川直頼から嫡子金王丸に譲られた所領のうちに「武蔵国蕨郷上下」がみえる(「渋川直頼譲状写」賀上家文書)。長禄元年(一四五七)六月渋川義鏡は室町幕府から関東下向を命じられた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「蕨市」の意味・わかりやすい解説

蕨〔市〕
わらび

埼玉県南東部,荒川左岸の沖積地にある市。 1959年市制。市街地は自然堤防上に発達し,江戸時代には中山道の宿駅として繁栄するとともに綿織物双子縞を中心とした織物業が発達した。 1893年国電 (現 JR) 京浜東北線の駅が開設されて駅前地区が発達。現在,伝統の繊維工業が行われるほか,蕨工業団地が建設され,車両,機械,電線,染色などの大工場が進出している。東京に近く,宅地化の進行に伴い人口増加が著しく,面積の狭いことも相まって県内最高,全国屈指の過密都市である。南北朝時代の蕨城跡があり,県指定の史跡。面積 5.11km2。人口 7万4283(2020)。

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