(読み)ワラビ

  • ×蕨
  • わら
  • 地名
  • 蕨 (ワラビ)

デジタル大辞泉の解説

イノモトソウ科の多年生のシダ。草原など日当たりのよい所に生え、高さ約1メートル。葉は3回羽状に裂け、羽片の裏面の縁に胞子嚢(ほうしのう)群をつけ、冬には枯れる。春のこぶし状に丸まっている若葉食用に、根茎は砕いてでんぷんとする。 春》「雪渓のとけてとどろく―かな/楸邨
紋所の名。1若芽図案化したもの。
埼玉県南東部の市。もと中山道宿場町綿織物双子縞(ふたこじま)の産地として発展した。面積は約5平方キロメートルで全国最小の市。人口7.1万(2010)。

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大辞林 第三版の解説

女房詞
ワラビ。御湯殿上 文明一八
イノモトソウ科の常緑性シダ植物。疎林や日当たりのよい山地に生え、早春、先端がこぶし状に巻いた新芽が地下の根茎上から直立して生い出る。これを山菜として食用にする。葉は三回羽状に分裂。羽片の縁が下面に巻きこんで、胞子囊のう群がつく。根茎から蕨粉をとる。 [季] 春。
埼玉県南東部の市。近世、中山道の宿場町として発展。宅地化が進み、人口密度は全国でも屈指の高さ。

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 蕨(わらび)をいう女房詞。
※海人藻芥(1420)「蕨はわら。葱はうつほ。如此異名を被付」
[1] 〘名〙
① シダ類ウラボシ科の落葉多年草。各地の山野の向陽地に生える。早春、先端が拳状に巻いた新葉を出す。成葉は二~四回羽状複葉で長柄をもつ。葉身は卵状三角形で長さ八〇センチメートルに達し、小葉はさらに羽裂する。胞子嚢(ほうしのう)群は裏側にまいた葉の縁につく。若葉は早蕨(さわらび)と呼び食用。根から蕨粉をとって餠や糊の原料とする。漢名、蕨。《季・春》
※正倉院文書‐天平宝字八年(764)三月一八日・吉祥悔過所銭用帳「卅六文和良比卅六巴」
※古今(905‐914)物名「煙たちもゆとも見えぬ草の葉をたれかわらびと名づけそめけん〈真静〉」
※俳諧・猿蓑(1691)四「狗脊(ぜんまい)の塵にゑらるるわらびかな〈嵐雪〉」
② 紋所の名。①の若芽を図案化したもの。三つ割り蕨、蕨桐、抱き蕨などがある。
※歌舞伎・善悪両面児手柏(妲妃のお百)(1867)五幕返し「芸者小三褄を端折り、草履にて、蕨のつきたる提ぶらをさげ出で来り」
[2] 埼玉県南東部の地名。南北朝時代、扇谷(おうぎがやつ)上杉氏が築城した蕨城の城址がある。江戸時代は、中山道板橋と浦和との間の宿駅。江戸末期から双子縞(ふたこじま)の綿織物の生産が盛んになる。工業・住宅都市として発展。昭和三四年(一九五九)市制。
[補注]((一)①について) 上代以来、和歌では早春の景物とする。中古の歌では「わらび(藁火)」と掛けた上で、「萌え」と掛けた「燃え」や「煙」「たく(焼)」などと縁語にしたりする。散文では、採取して食用にするものとして現われる。

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