墨汁(読み)ボクジュウ

デジタル大辞泉 「墨汁」の意味・読み・例文・類語

ぼく‐じゅう〔‐ジフ〕【墨汁】

墨をすった汁。特に、すぐに使えるように製造した黒色の墨液。
イカタコ体内にある黒い汁。

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精選版 日本国語大辞典 「墨汁」の意味・読み・例文・類語

ぼく‐じゅう‥ジフ【墨汁】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 墨をすった汁。とくに、字を書くために、すぐ使えるように製造した黒い液。すみじる。墨瀋(ぼくしん)墨水。〔日葡辞書(1603‐04)〕 〔図絵宝鑑
  3. インク。
    1. [初出の実例]「西洋は、本邦支那の如き筆墨を用ひず、〈略〉墨汁は鉄液に没食子を合せ製す」(出典:漂荒紀事(1848‐50頃)凡例)
  4. イカやタコの体内にある黒い液。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「墨汁」の意味・わかりやすい解説

墨汁
ぼくじゅう

筆記用としてすぐに使えるようにした墨液。1900年(明治33)に田口精爾(せいじ)が初めて墨汁の製造に成功して、実用化された。油煙、松煙、カーボンブラックなどの顔料を主原料とし、それらを水に分散させるため、膠(にかわ)や合成樹脂ポリビニルアルコール)などを加えて一定の粘性を出している。また、湿度の少ない冬季などに凝固するのを防ぐため、吸湿性の強い塩化石灰も混入されている。油煙などの炭素を多く含む高級品は、とくに液体墨とよばれ、書家用と一般用がある。それに学童用、工業用の墨汁のほか、ねり墨、朱色顔料を入れた添削用の朱液などがある。顔料の粒子が細かく沈殿をおこさないもの、光沢がよくて黒いもの、にじみの少ないものなどが良品である。

[野沢松男]

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普及版 字通 「墨汁」の読み・字形・画数・意味

【墨汁】ぼくじゆう(じふ)

すった墨。墨液。〔画品、一〕劉靜修の詩に、老いて胸中汁無きを覺ゆと。畫譜に云ふ、李を惜しむこと、金の如しと。

字通「墨」の項目を見る

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百科事典マイペディア 「墨汁」の意味・わかりやすい解説

墨汁【ぼくじゅう】

カーボンブラック(にかわ)の溶液と練り混ぜ,防腐剤香料等を加えた液。色が濃く使用が簡便だが,に比べ雅致は劣る。

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世界大百科事典(旧版)内の墨汁の言及

【墨汁腺】より

…軟体動物頭足類特有の器官で,直腸上の肛門のすぐ背側にある墨汁囊ink sac中にあって墨汁ink(いわゆるイカの墨)を分泌する腺。墨汁囊はスポイト状で,輸管(墨汁管)には開口近くに括約筋が二つあって墨汁の排出を制御できる。…

※「墨汁」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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