藤里(読み)ふじさと

日本大百科全書(ニッポニカ) 「藤里」の意味・わかりやすい解説

藤里(町)
ふじさと

秋田県北部、山本郡の町。青森県に接する。1955年(昭和30)藤琴(ふじこと)、粕毛(かすげ)の2村が合併して藤里村となり、1963年町制施行。町域の大部分山林で、秋田杉ブナ林が多い。白神山地のブナ原生林は、生態系および学術上きわめて貴重であるため、1993年(平成5)にユネスコの世界遺産に登録された。鉛鉱山の太良黄山(たいらこうざん)は近世以前からあったといわれ、廃鉱になった1958年には坑夫300人余を数えた。現在、秋田杉の伐採などの林業のほか、米作や肉用牛、羊の飼育も行われている。粕毛川上流の素波里(すばり)峡、藤琴川上流の太良峡は峡谷美に優れ、秋田白神県立自然公園に指定されている。県の無形民俗文化財に藤琴の豊作踊がある。面積282.13平方キロメートル、人口2896(2020)。

[宮崎禮次郎]

『『藤里町誌』(1975・藤里町)』


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改訂新版 世界大百科事典 「藤里」の意味・わかりやすい解説

藤里[町] (ふじさと)

秋田県北部,山本郡の町。人口3848(2010)。北部は青森県にまたがる白神山地に属し,ここに源を発する藤琴川,粕毛(かすげ)川が中心集落藤琴で合流して米代川に注ぐ。近世は秋田藩領で,粕毛地区は津軽への間道要所であった。米作と,藤里牛として知られる肉牛飼育が盛んで,秋田杉の造林も進められている。粕毛川上流には1970年に県営素波里(すばり)ダムが建設され,ダム湖の湖岸は国民休養地に指定されている。白神山地の駒ヶ岳(藤駒岳。1158m)山麓の田苗代はミズバショウ群落で知られる。藤琴の駒踊馬上での勇壮な武士の踊りとして有名。
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百科事典マイペディア 「藤里」の意味・わかりやすい解説

藤里[町]【ふじさと】

秋田県北部,山本郡の町。米代(よねしろ)川の支流藤琴川,粕毛(かすげ)川流域を占める。米作を基幹産業とする。中心集落は藤琴。粕毛川はアユの産で知られ,上流には素波里(すばり)渓谷がある。1993年白神山地が世界遺産条約の自然遺産リストに登録された。282.13km2。3848人(2010)。

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