出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
馬の作り物をつけて踊る風流踊(ふりゅうおどり)。馬どころ東北の南部地方にことに多く、すべて一人立(だち)である。昔から馬は神の乗り物、いわゆる神馬(しんめ)として敬愛されてきた。春の祝福芸に春駒(はるごま)があり、正月か初午(はつうま)に登場するが、駒踊はさなぶり(田植終了の祝い)や秋祭りに多く奉納される。南部藩の牧場では、春に若駒を野に放ち、秋に多数の勢子(せこ)が取り押さえた。駒踊はそのさまを踊りにしたものという。青森県三戸(さんのへ)郡の駒踊には、7頭、5頭、3頭などの別があり、八戸(はちのへ)市高館(たかだて)は7頭。9月中旬の小田八幡宮(こだはちまんぐう)例大祭で踊られ、「駒踊」「七つ道具」「扇舞」「うつぎぁさぁ」の四つの踊りを駒踊と総称しているが、たいへん勇壮なものである。青森県津軽(つがる)地方、たとえば五所川原(ごしょがわら)市の荒馬(あらうま)はさなぶり荒馬といわれ、さなぶりに荒馬の威勢で害虫退散をするのだといわれる。南部の駒踊と同じ一人立で、馬頭と尻尾(しっぽ)を前後につけ、綱をとるものも出て、6頭の荒馬に太刀振り、簓(ささら)、傘鉾(かさほこ)などがつく。
[萩原秀三郎]
青森県八戸(はちのへ)市を中心に南部地方一帯に見られる集団の民俗舞踊。木製の馬の首の作り物と,尻毛尾のついた楕円形の竹の枠型の作り駒を腰にくくりつけ,若駒騎乗に擬して踊る風流(ふりゆう)踊の一種で,北海道白糠(しらぬか)郡にも伝播されているが,扮装,曲数,馬の数など土地によって異なる。大小刀・杵(きね)・薙刀(なぎなた)・棒の四つ舞の付舞がつき,太鼓,鉦,囃子手を交え円陣になって笛の音とともに踊る。野馬取りの様子を享保(1716-36)ころに芸能化したものと伝える。
執筆者:西角井 正大
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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