蘭若(読み)ランニャ(英語表記)lán ruò

デジタル大辞泉 「蘭若」の意味・読み・例文・類語

らんにゃ【×若】

《「阿蘭若」の略》寺院精舎しょうじゃ
高野の―、比叡ひえ仏刹ぶっさつ」〈露伴・二日物語〉

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精選版 日本国語大辞典 「蘭若」の意味・読み・例文・類語

らんにゃ【蘭若】

〘名〙 (araṇya音訳阿蘭若」の略。閑寂・遠離などと訳す) 仏語人里を離れ、仏道修行に適する閑静な場所。転じて、寺院の称。練若。らんじゃ。
本朝無題詩(1162‐64頃)八・秋日長楽寺即事〈菅原是綱〉「適辞万里柳営裡、閑到四禅蘭若前」 〔杜甫‐謁真諦寺禅師詩〕

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改訂新版 世界大百科事典 「蘭若」の意味・わかりやすい解説

蘭若 (らんにゃ)
lán ruò

サンスクリット語荒野を意味するaraṇyaの音写である阿蘭若の略。仏典では,人里はなれた林野で修行に適した閑静な場所とされ,転じて僧侶の住む山間の小寺院を指すようになった。例えば,五台山の北台の北面に位置した宋谷寺のことを,円仁は《入唐求法(につとうぐほう)巡礼行記》に宋谷蘭若と記している。また845年(会昌5)の会昌の法難(三武一宗の法難)に際して出された詔勅によれば,寺4600余所と招提・蘭若4万余所をこわしたという。
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普及版 字通 「蘭若」の読み・字形・画数・意味

【蘭若】らんにや

寺。

字通「蘭」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の蘭若の言及

【寺院建築】より

…仏陀をまつるところを指す浮屠祠(ふとし)の名は後漢代から,学舎の意の精舎も魏・晋代(3世紀)から用いられた。南北朝(5~6世紀)ころから浮屠は仏塔のみを指すようになり,寺院全体はsaṃghārāma,āraṇyaの音を移した僧伽藍(そうぎやらん)(僧伽藍摩ともいう),阿蘭若などとも呼ばれ,また伽藍,蘭若などと略称されることが多くなった。
[形態と機能の変化]
 インドは乾季と雨季が明確で,乾季には広場で儀式や集会が行われ,雨季には僧房で安居の行をし,また仏陀を礼拝するのが伽藍のおもな機能であったが,中国では雨雪や極寒期もあって,一山大衆を屋内に収容し儀式や教学の集会を行う必要が生じた。…

【ラン(蘭)】より

…春秋時代の楚の宮殿や,漢の宮中図書館,さらには御火台を蘭台と呼び,皇后宮を蘭殿というのも最上の香気の意味を含ませる。時代は下るが,王羲之の蘭亭も単にそこに蘭花が多かった以上の印象を与えるし,寺院āraṇyaに蘭若(らんにや)の字を当てるのも,蘭と杜若(カキツバタ)のもつイメージと無関係ではない。 中国の観賞用の蘭は,温州や婺(ぶ)州蘭谿など浙江省南部の山地,福建の海岸一帯,あるいは江蘇省宜興などに生育し,湖北や漢中にも産地がある。…

※「蘭若」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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