精選版 日本国語大辞典 「蚊取線香」の意味・読み・例文・類語
かとり‐せんこう ‥センカウ【蚊取線香】
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ピレスロイド系殺虫剤。除虫菊の有効成分ピレトリンとその合成類似化合物を総称してピレスロイドという。日本での除虫菊の栽培は1885年に始まり,当初,〈のみとり粉〉〈かとり粉〉として粉末状で使われ,87年ころに棒状線香が考案された。その後,より長時間の使用が可能な渦巻形となる。1955年合成ピレスロイドが実用化され,現在では一般に0.3~0.6%のピレスロイドに増量剤,粘結剤を加えて捏和(ねつか)機で練り,押出機にかけて板状にし渦巻形に打ち抜いたものを乾燥する。燃焼部分は約700℃になり,有効成分は先端から6~8mm(約200℃)のところから微粒子となって揮散する。カに対する効力は,ピレスロイドが1.2×10⁻7~6.0×10⁻7mgでカは行動不能となり,この濃度以上で死に至る。蚊取線香は,抵抗性がつきにくく,安全であること,燃焼中絶えず一定の有効成分を空中に放出し殺虫効果を保持でき,開放的な日本の家屋形態に適していること,などの理由で古くから親しまれてきた。電気蚊取器は1963年に製品化されたもので,電気で加熱した熱板(約150℃)にピレスロイドを含んだマットなどを置いて用いる。火を使わず,煙が出ないのが特徴。家屋の個室化,密閉化が進むにつれて需要が伸び,80年には蚊取線香の販売額を追い抜いた。線香,マット,スプレー式以外のカの駆除器としてはカが夜間に灯火に集まる性質を利用したライトトラップや,同じくカが羽から超音波を出す習性を利用した超音波蚊撃退器がある。
→蚊やり
執筆者:北村 賀世子
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…ジョチュウギク(シロバナムシヨケギク)の花に含まれる天然殺虫性物質で,原産地である中央アジア,カフカス地方で,19世紀に入りその乾燥花が殺虫剤として用いられ始めた。現在では,アフリカのケニア,タンザニアが主生産国である。ジョチュウギクの殺虫成分はピレスロイドと総称され,ピレトリンI,II,シネリンI,II,ジャスモリンI,IIの6種からなる。いずれもシクロプロパン環を有する酸と5員環環状ケトンアルコールとのエステル体である。…
※「蚊取線香」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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