蚊柱(読み)カバシラ

デジタル大辞泉 「蚊柱」の意味・読み・例文・類語

か‐ばしら【蚊柱】

夏の夕方軒先などに、ユスリカなどが群れをなして飛び、柱のように見えるもの。ふつう雄からなり、雌が飛び入って交尾することが観察される。「蚊柱が立つ」 夏》

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精選版 日本国語大辞典 「蚊柱」の意味・読み・例文・類語

か‐ばしら【蚊柱】

  1. 〘 名詞 〙 夏の夕方など、雄の蚊が軒先などに縦につらなって群がり飛び、それが柱のように見えるもの。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「草深きしづのふせやのかばしらにいとふ烟をたてそふる哉」(出典:拾遺愚草(1216‐33頃)上)

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改訂新版 世界大百科事典 「蚊柱」の意味・わかりやすい解説

蚊柱 (かばしら)

カの仲間や他の双翅類軒下などに群れて柱状に長くのび,上下しながら飛ぶことをいう。カ科で蚊柱をつくる種類にはアカイエカ,コガタアカイエカなどが知られ,7~8月ころの夕方や朝,羽音をたてながら20~50匹,ときには数百匹の雄が群飛するところへ数匹の雌が入ってきて交尾をする。雄は雌の侵入を羽音で感知するといわれる。蚊柱をつくるカ科以外の双翅類にはユスリカ科,ガガンボダマシ科,ヒメガガンボ科などが知られる。

 日本では古くからその発生を生物暦の一つとしているところもあり,これらの群飛は雨の兆しといわれ,〈カのもちつき〉〈カツボのこめつき〉などと呼ばれ親しまれてきた。〈ウンカのもちつき雨を呼ぶ〉のことわざもある。早春から林間や軒下などに群飛が見られる種類はガガンボダマシ科に多く,いろいろの種類が知られる。一般に朝と夕方に見られるが曇天のときは日中でも蚊柱をつくることがある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「蚊柱」の意味・わかりやすい解説

蚊柱
かばしら

昆虫類のカ、ユスリカ、ヌカカ、ガガンボなど双翅(そうし)目長角群の昆虫が、上下左右に飛びながら柱状に群集する現象をいう。蚊柱は全体として上下に移動するが、地上にある突起物や周囲と色の違う紋様を中心にその上方でつくられ、木の梢(こずえ)の上、枝先の下でみられることもある。構成は普通、雄だけで、雌がこれに飛び入り雄と交尾することが観察されているので、生殖のための行動といわれているが、雌だけの群飛や1種類だけでない場合もある。蚊柱ができるのは夕暮れ夜明けが多いが、種類と天候により日中にもできる。双翅類以外でも蚊柱と同じ現象が、カゲロウトビケラカワゲラクビナガカメムシなどでみられる。

[中根猛彦]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「蚊柱」の意味・わかりやすい解説

蚊柱
かばしら
swarm of mosquitoes

カ,ガガンボ,ユスリカなどが多数集って乱舞している状態。交尾に関係の深い行動であるが,群集中には雌がいるわけではなく,ときどき1個体ずつ飛込んできては,雄と対になって群集を離れる。

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