不透明の色付きガラスの表面に,異なった色のガラスを象嵌(象嵌玉)したり貼付して装飾文様を施した丸玉の一種。文様は同心円文や円文が圧倒的に多く,その形態がトンボの目玉に類似するところから,このように通称されているが,文様には線条文なども含まれる。象嵌の技術はかなり高度のもので,エジプト(第18王朝)やメソポタミアで前1500年ころに初めて出現し,以後,首飾のビーズとして東西に広まり,各地で制作された。とくに前6~後3世紀の地中海東岸地域,メソポタミア,イラン高原,戦国~漢時代の中国,イスラム初期のトンボ玉が著名である。中国には首飾のほかに,容器の表面にモザイク状に象嵌したものもある。また,中国のトンボ玉は,技術的には西方に由来するが,バリウムを多く含んだガラスの性質から中国で制作されたといわれる。日本では古墳の副葬品にみられるが,縞文様を表したものを,とくに雁木(がんぎ)玉と呼ぶ。
執筆者:田辺 勝美
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…なお,正倉院宝物には,捩玉にくらべると簡単な細工の,数ヵ所に縦溝をつけたガラス玉もあるので,古墳時代の空玉(うつろだま)と同様に,これを山梔玉(くちなしだま)と呼んでいる。また,ガラス丸玉の表面に,ちがった色のガラス片を溶着したものをトンボ玉といい,正倉院宝物中の横縞文様のガラス玉もトンボ玉にふくめている。しかし,古墳出土の縦縞文様のガラス玉は,雁木玉と呼ぶことがある。…
…奈良時代に刺玉(さすだま)と呼んだものは,緒に刺し通す意味で,形からいえば丸玉あるいは小玉の類である。さらに特殊な形の玉として,蜜柑玉(みかんだま),山梔玉(くちなしだま)などの形の類似によるもの,捩玉(ねじだま)のように加工の方法によるもの,トンボ(蜻蛉)玉のように色彩の変化によるものなどの,変わった名称の玉もある。蜜柑玉は丸玉の表面に縦にくぼんだ溝をつけたもの,山梔玉は棗玉の表面に縦に溝をつけたものである。…
※「蜻蛉玉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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