精選版 日本国語大辞典 「蟠」の意味・読み・例文・類語
わだかま・る【蟠】
[1] 〘自ラ五(四)〙
① 輪のような形状にかがまり曲がる。蛇などがとぐろを巻く。
※大智度論天安二年点(858)「安坐すること龍の蟠(ワタカマレ)るがごとし」
② くねり曲がる。
※枕(10C終)二四四「七曲にわだかまりたる玉の」
③ 心が、ねじけ曲がる。悪意がある。
※天草本伊曾保(1593)大海と野人の事「サキノ ゴトク vadacamatte(ワダカマッテ) ミヲ タバカルトモ」
⑤ 滞って動かないでいる。固まって滞る。
※夢の女(1903)〈永井荷風〉三「其の黒い影は後の襖の上に蟠(ワダカマ)った儘、少しも動く事が無い」
[2] 〘他ラ四〙 人をだまして、ある物を自分の物にする。着服する。横領する。
わだかまり【蟠】
① かがまり曲がること。かがみ伏すこと。
② 心がねじけていること。いつわりの気持や悪意をもっていること。〔羅葡日辞書(1595)〕
※浮世草子・浮世栄花一代男(1693)一「其心ざし(ワダカマ)りもなく清く流るる水にひとしく」
※歌舞伎・恋闇鵜飼燎(1886)五幕「何をお前が言出すか、わだかまりの無い私だから、誰が聞かうと構やあしない」
④ くねり曲がること。滞っていること。
※坑夫(1908)〈夏目漱石〉「平たい真直な道は蟠(ワダカ)まりのない爽なものである」
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