(読み)バン

デジタル大辞泉 「蟠」の意味・読み・例文・類語

ばん【蟠】[漢字項目]

[音]バン(呉) ハン(漢) [訓]わだかまる
とぐろを巻く。わだかまる。「蟠踞ばんきょ蟠屈竜蟠虎踞りゅうばんこきょ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「蟠」の意味・読み・例文・類語

わだかまり【蟠】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「わだかまる(蟠)」の連用形名詞化 )
  2. かがまり曲がること。かがみ伏すこと。
  3. 心がねじけていること。いつわりの気持悪意をもっていること。〔羅葡日辞書(1595)〕
    1. [初出の実例]「其心ざし(ワダカマ)りもなく清く流るる水にひとしく」(出典浮世草子・浮世栄花一代男(1693)一)
  4. 心の中にこだわりとなっている感情。相手に対する何らかの不信、不満のある心情。すっきりしないこと。また、心中の晴れない思い。屈託
    1. [初出の実例]「何をお前が言出すか、わだかまりの無い私だから、誰が聞かうと構やあしない」(出典:歌舞伎・恋闇鵜飼燎(1886)五幕)
  5. くねり曲がること。滞っていること。
    1. [初出の実例]「平たい真直な道は蟠(ワダカ)まりのない爽なものである」(出典:坑夫(1908)〈夏目漱石〉)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「蟠」の読み・字形・画数・意味


18画

[字音] ハン・バン・ハ
[字訓] わだかまる・めぐる・わらじむし

[説文解字]

[字形] 形声
声符は番(はん)。〔説文〕十三上に「鼠(そふ)なり」とあり、わらじ虫の意とする。その字は、あるいは鼠に従う。〔玉〕になお「大なり。紆迴(うくわい)して轉曲するなり」という。字は蟠紆・蟠屈などの義に用いる。

[訓義]
1. わだかまる、とぐろをまく。
2. めぐる、まがる、まわる。
3. あつまる、ふす、とどまる。
4. わらじむし。
5. 盤と通じ、めぐる。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕蟠 志自万留(しじまる)、、和太万留(わだまる) 〔和名抄〕蟠 和太加末(わたかまる)。の臥する貌なり 〔名義抄〕蟠 ワダカマル・シジマル

[語系]
蟠・盤・槃buanは同声。〔広雅、釈詁一〕に「蟠は曲なり」、〔管子、内業〕「九州に蟠滿す」の〔注〕に「蟠は委地なり」とあり、委地は委陀(いだ)の意。番ははためく、般はめぐるを基調とする語である。

[熟語]
蟠委・蟠紆蟠鬱・蟠蟠蜒・蟠蟠糾蟠拠蟠踞・蟠曲・蟠屈蟠結蟠互蟠根・蟠石蟠旋・蟠・蟠蟄・蟠桃・蟠道・蟠木・蟠満・蟠幽・蟠絡・蟠竜
[下接語]
蟠・屈蟠・根蟠・際蟠・蟠・竜蟠

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

動植物名よみかた辞典 普及版 「蟠」の解説

蟠 (ワラジムシ)

学名:Porcellio scaber
動物。ワラジムシ科の陸上動物

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android