六訂版 家庭医学大全科 「血尿が出る」の解説
血尿が出る
けつにょうが出る
Bloody urine
(お年寄りの病気)
どのような状態か
血尿とは、尿のなかに血液が混ざっている状態です。尿に血液が大量に混ざっていれば、尿は赤色または褐色となり、肉眼でもわかります。これを肉眼的血尿といい、ごくわずかに血液が混じり、顕微鏡で見ないとわからない場合を顕微鏡的血尿といいます。
血尿は、図5に示したように腎臓に始まり、尿管、
疑われる病気
さまざまな病気が原因になって血尿が出ます。主に腫瘍(がんなど)、結石、炎症、内科的な病気としての腎炎(
高齢者でとくに気をつけなくてはならないのは、膀胱にできる腫瘍(膀胱がん)です。肉眼的血尿が数日間続き、その後、尿がきれいになってしまうことが多いので、うっかりすると病気を見逃してしまいます。肉眼的血尿に気づいたら、必ず専門医を受診してください。腎臓、尿管、尿道にも腫瘍ができますが、膀胱ほど多くはみられません。
尿路に結石ができると血尿が出ますが、顕微鏡的血尿のことが多く、一般的にかなりひどい痛みを伴います。
炎症としては膀胱炎が大多数です。この場合、血尿というよりは尿のにごりが目立ち、排尿する時の痛み、排尿回数の増加(
内科的な病気としての腎炎では、顕微鏡的血尿のことが多く、若い人に起こります。若い時に腎炎にかかったことがある人は、高齢になって再発することがあるので注意を要します。
そのほか、男性では前立腺肥大症(ぜんりつせんひだいしょう)、前立腺がんでも血尿が出ます。また、やせ型の人では、腎臓が呼吸や運動に伴って上下に動きやすい状態(
家庭での対処のしかた
いずれにしても、血尿に気づいたら必ず専門医の診察を受け、その原因をはっきりさせることが重要です。
阿曽 佳郎
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報