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特発性腎出血 とくはつせいじんしゅっけつidiopathic renal bleeding

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

特発性腎出血
とくはつせいじんしゅっけつ
idiopathic renal bleeding

本態性腎出血ともいう。詳細に検査しても,原因が明らかにできない腎臓出血につけられる診断名。したがって,癌や結核の初期であったとのちに判明することもあるが,多くは原因不明のままなおってしまう。出血は,1回だけでなく持続するものが多いが,期間は数日,数週,数ヵ月と一定しない。長期になると貧血を起す。通常は止血剤抗ヒスタミン剤などを使っているうちに止血する。

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家庭医学館の解説

とくはつせいじんしゅっけつ【特発性腎出血】

 特発性腎出血という独立した病名があるかどうか学者の間でも論議が多いのですが、他に確かな病名がつけられない原因不明の腎出血を、この病名で扱うのが一般的です。
 血尿(けつにょう)は、2つの腎臓(じんぞう)のどちらかからのことが多く、膀胱鏡(ぼうこうきょう)(膀胱を見るための内視鏡)で見ると、片側の尿管口(にょうかんこう)から出血しているのがはっきりわかります。これは尿路性の出血で、血が固まって尿管につまったりしないかぎり、とくに症状はありません。
 血液の凝固能(ぎょうこのう)には異常がなく、内視鏡で見ると、腎臓の乳頭のまわりの血管がふくれあがっていて、出血しやすい状態になっているといった報告もあります。
 ナットクラッカー(クルミ割り)現象というのは、左腎静脈(ひだりじんじょうみゃく)が圧迫されたために、腎臓内の静脈の流れが悪くなってうっ血(けつ)がおこり、それが血尿の原因になるというものですが、特発性腎出血も、なんらかの原因でおこる軽い腎臓内のうっ血によると考えることもできます。
 いずれにしても、貧血になったり、将来IgA腎症(アイジーエーじんしょう)のように、腎臓のはたらきが悪くなるといったおそれはないのがふつうです。
 それほど心配する必要のない病気ですから、止血剤で血尿を止めますが、どうしても薬だけでは止まらないときは、腎盂(じんう)の中に1~3%の硝酸銀(しょうさんぎん)を注入して、出血している静脈を凝固させるという治療が行なわれることもあります。
 昔は、この病名のもとに治療される患者さんがたくさんいましたが、今では診断技術も進歩し、より医学的に正しい病名がつけられるようになったため、特発性腎出血という病名の患者さんの絶対数は少なくなりました。しかし、どうしても血尿の原因のわからないものでは、やはり特発性腎出血として治療しなければならないものもあります。

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世界大百科事典 第2版の解説

とくはつせいじんしゅっけつ【特発性腎出血 essential kidney bleeding】

種々の検査を行っても原因が見つからない腎臓性の血尿をいう。肉眼的血尿のほかは一般に無症状であるが,血尿が高度になったり出血が長びくと貧血を起こすことがある。血尿は多くの場合,1ヵ月以内に消失するが,貧血などがある場合には輸血,輸液を行う。診断にあたっては,ほかに血尿を伴う疾患,すなわち尿路結石,腫瘍,血管腫,腎結核,腎囊胞,血栓などがないこと,さらに腎出血をもたらす病巣感染の要因となるような扁桃炎,虫歯などの疾患や,アレルギーや血行障害などの全身疾患がないことを確認する。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

特発性腎出血
とくはつせいじんしゅっけつ
idiopathic renal bleeding

臨床的に原因が究明できない腎臓性の血尿をいう。自律神経失調、循環障害、アレルギー性異常などによるものが多いと考えられている。血尿以外には一般に無症状であるが、ときに尿路中に凝血が生じて痛みを訴えることがある。血尿は1か月以内に消失する場合が多いが、再発しやすく、血尿が長引いたり高度の場合には貧血をおこすこともあり、輸血が行われる。
 診断上、血尿を伴う多くの他疾患との鑑別が重要で、尿検査、膀胱(ぼうこう)鏡検査、血液学的検査、X線検査など泌尿器科的または内科的精密検査が行われる。これにより腎炎、尿路の結核・腫瘍(しゅよう)・結石、腎結核、嚢胞(のうほう)腎、水腎症、遊走腎、血管腫、血栓などをはじめ、アレルギーや血行障害などの全身疾患がないことを確認する。
 治療は、安静にして止血薬や抗ヒスタミン薬を用い、経過を観察する。尿管カテーテルにより腎盂(じんう)に硝酸銀溶液を注入すると、血尿が消失することもある。まれに腎機能の低下がみられるが、予後は良好なものが多い。[加藤暎一]

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世界大百科事典内の特発性腎出血の言及

【血尿】より

…腎炎,ネフローゼ症候群に関しては腎生検が必要なことが多い。以上の検査を中心にそれぞれの分野の検査でもなお原因が把握できないものを特発性腎出血という。血尿の治療は原疾患によるが,大量出血による場合は輸血,輸液が必要であり,適切な止血剤の投与も併せ行われるのが一般である。…

※「特発性腎出血」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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