六訂版 家庭医学大全科 「特発性腎出血」の解説
特発性腎出血
とくはつせいじんしゅっけつ
Idiopathic renal hemorrhage
(腎臓と尿路の病気)
どんな病気か
特発性腎出血とは、腎臓から尿路への原因不明の出血です。肉眼的血尿(真っ赤な尿)が数時間~数日続きます。腎臓からの出血といっても、体内に血液がたまるわけではありません。20~30代の比較的若年者に多くみられます。
ちなみに「特発性」は「原因不明」という意味です。「突発性」という似たような単語がありますが、こちらは「突然に」という意味です。
なお、ナットクラッカー現象(コラム)による腎出血は、以前は特発性腎出血に含まれていましたが、原因が明らかになったので、現在では含まれません。
症状の現れ方
原因や誘因がなく、いきなり真っ赤な尿が現れるため、びっくりしてしまうことが多いようです。一度だけの場合もありますが数日間続くこともあります。また、再発することもあります。多くの場合、泌尿器科を受診することになります。
真っ赤な尿のすべてが特発性腎出血ではありません。他の原因としては、尿路感染症(膀胱炎など)、
検査と診断
他の原因による肉眼的血尿を除外することが必要です。具体的な検査としては、尿沈渣、尿細胞診、尿細菌培養、超音波、CT、MRI、静脈性
治療の方法
薬物療法としては、抗プラスミン薬などの止血薬が使用されています。肉眼的血尿が持続する場合には、尿管カテーテルを用いて硝酸銀の腎盂内への注入も行われます。
病気に気づいたらどうする
他の疾患が除外できたら、あわてる必要はありません。多くは自然に消失します。持続したり、何度も再発したりする場合には、泌尿器科を受診して治療を行います。肉眼的血尿が見られる間は、飲酒や激しい運動はひかえたほうがよいでしょう。
関連項目
急性糸球体腎炎、慢性糸球体腎炎、腎がん、尿路結石症、急性膀胱炎、膀胱がん
谷亀 光則
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報