衛生統計(読み)えいせいとうけい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「衛生統計」の意味・わかりやすい解説

衛生統計
えいせいとうけい

衛生統計とは

衛生統計の意味

衛生統計とは、人間集団の健康に関する情報に適切な処理をして、その集団の健康特性を表現したものである。健康情報には、死亡や疾病のように人間の身体そのものが情報の発生源であるものと、それ以外の国民医療費や下水道の普及率などがある。

 また、その指標には絶対的な値と相対的な値がある。衛生統計で相対的な値は、ある集団で人口何人当り、ある期間あるいは一時点で健康に関する事象の発生件数(量)あるいは保有件数(量)の大きさを示す。たとえば、日本の2006年(平成18)の死亡率は人口1000人当り8.6件であった、などである。衛生統計はその集団の健康(衛生)状況を表現するものである。その相対的な指標を時間的空間的に比較することができる。たとえば、日本の1950年(昭和25)の死亡率は2000年の値よりかなり高かった、などである。

 率は分子/分母で計算される。両者の関係として、「分子」の事象の発生や保有は「分母」の中からという原則がある。子宮癌(がん)は女性のみ罹患し、決して男性は罹患しない疾患である。子宮癌に関し、女性は危険人口(population at risk)であるという。

 衛生統計を作成する目的は、ある人間集団あるいは全人類の平和・安寧と繁栄に役だてるためで、とくに健康に関する経済的・非経済的利益の獲得のためである。衛生統計は公衆衛生活動にとくに有用である。ある集団のある健康指標が劣悪であれば、その問題点を認識でき、解決のための対策行動を計画して実施できる。対策行動実施後、健康指標の改善の程度を知ることにより、評価が可能となる。それにより、改良された健康対策行動が再度実施できる。この種の循環(PDCAサイクル)が適切であれば、その集団の健康度のさらなる上昇が期待できる。

 実例として、インフルエンザによる死亡とインフルエンザワクチンの接種の関係がある。1999年(平成11)の日本のインフルエンザおよびそれに関連した死亡率とワクチンの接種率を欧米先進国と比較して、死亡率が高く、接種率が低いとの情報が得られた。そこで、ワクチンの接種率を欧米先進国なみにする公衆衛生政策が計画され、実施されている。その後の日本のインフルエンザによる死亡率をみることにより、ワクチンの接種率上昇という公衆衛生政策が評価される。もしインフルエンザによる死亡率低下が不十分ならば、接種率のさらなる上昇という政策などが考慮されよう。

[杉田 稔]

人口統計

人口統計は衛生統計の一部で、それには人口静態統計人口動態統計がある。前者はある一時点の人口で、後者はある期間の出生や死亡などの人口の出入りである。

[杉田 稔]

衛生統計作成機関

衛生統計を取扱っている公的機関は、日本では総務省統計局、厚生労働省統計情報部、環境省、文部科学省などで、国際機関では国際連合(UN)、世界保健機関(WHO)などである。民間会社としては保険会社などがある。また、学術団体として、病理剖検輯(しゅう)報を作成している日本病理学会などがある。

[杉田 稔]

人口静態統計

人口静態統計とはある一時点の人口である。この情報は5年ごとに行われる国勢調査によって得られる。調査項目は氏名、性、生年月、所帯主との続柄、配偶関係、国籍などであり、その時点の性年齢別国籍別人口が得られる。これは時間空間的に比較可能である。国勢調査が実施されない年では、諸情報によりその概数を推定している。

[杉田 稔]

日本の全国人口

日本の全国人口、増加率、人口密度、人口性比の年次推移を表1に示す。これによると2004年に日本の人口は最大となった。

[杉田 稔]

性年齢別人口

性年齢別に人口を図Aのように示したものを人口ピラミッドという。人口の高齢化、少子化、戦争の影響などを視覚的に認識できる。これを地域暦年別に作成すれば、その人口の質の比較が視覚的に可能となる。2006年の人口ピラミッドは底辺が狭く、少子化を示している。これに対し、1935年(昭和10)の日本の人口ピラミッドはほぼ二等辺三角形で、若年層の多かったことが示される。

 人口を年齢別に、0~14歳を年少人口、15~64歳を生産年齢人口、65歳以上を老年人口という。この割合を、将来推計を含め、暦年別に図Bに示す。ここから、人口の老齢化と少子化の急速な進行が読みとれる。

[杉田 稔]

労働力人口

労働力人口とは就業の意思がある者で、就業者と完全失業者に分類できる。バブル経済の崩壊後に完全失業者数(率)の上昇が現れている。なお、就業の意思がない者を非労働力人口という。

[杉田 稔]

配偶関係別人口

配偶関係は未婚、有配偶、離別、死別と分類できる。2005年(平成17)の人口ピラミッドにそれらを載せたものを図Cに示す。ここから最近の晩婚傾向が分かる。

[杉田 稔]

世帯数

核家族化の進行と一人暮らしの増加で、世帯数の増加と1世帯当りの人員の減少が観察されている。

[杉田 稔]

将来推計人口

諸情報より、将来の人口を推計できる。2004年ごろに日本の人口は約1億2790万人で最大となり、その後減少しつつあると推測できる。日本の将来推計人口表2に示す。この表によると、今後年少人口の減少と老年人口の増加が予想され、さらなる人口の老齢化が進行するであろう。

[杉田 稔]

都道府県別人口

都道府県別に人口をみると、2006年の東京都の1266万人が最多で鳥取県の60万人が最少であった。年齢別では、大都市とその周辺で生産年齢人口が多く、地方で老年人口が多い。人口増加(減少)を自然増(減)と社会増(減)に分解できる。自然増は出生と死亡の差で、社会増は転入と転出の差である。若者の集まる大都市とその周辺では人口の社会増が大きくなる。一方、地方では若者が転出するから、人口の社会増が小さくあるいは負になる。それらの値が負の場合を、自然減、社会減という。

[杉田 稔]

国別人口

2004年で人口の多い国として、約13億人の中国と約11億人のインドがあげられる。人口の年間増加率を国別にみると、先進国で小さくあるいは負で、開発途上国では正で大きい。

[杉田 稔]

人口動態統計

人口動態統計とは人口の自然増減をみるもので、出生、死亡、死産、婚姻と離婚である。死亡に関しては重複するが、母子保健の有効な指標として、妊産婦死亡、周産期死亡と乳児死亡を加えている。これらの統計数値を時間空間別原因別で比較することにより、対象集団の衛生水準を知ることができる。表3に、日本の2005~06年の人口動態統計と、合計特殊出生率の概況を示す。日本など先進国の人口静態統計や人口動態統計などの衛生統計はその信頼性が高いが、開発途上国ではその信頼性の低さが問題になることが多い。

 死亡に関しては医師による死亡診断書、出生と死産に関してはそれに立ち会った者による証明書、婚姻と離婚に関しては当事者による届出書の情報が厚生労働省に集められて、集計される。

[杉田 稔]

出生

図Dに日本の出生率と合計特殊出生率の推移を示す。ここからその低下傾向がみてとれる。母の年齢別にみた出生率の暦年比較を示した図Eからは、出産時の母の高齢化がわかる。

(1)人口の再生産率 人口の再生産率とは世代間の人口の増減を示す諸指標である。このうち合計特殊出生率は、女性が一生に生む子どもの数の平均値である。日本での推移が図Dに示されている。その値が2強のとき、世代間での人口の増減が0となる。そのような状況でも、その時点の人口の増減は起こる。たとえば、出産可能年齢の女性が多い社会では人口増となり、高齢層の多い社会では人口減となる。実例として、1995年の日本の合計特殊出生率は1.42であったが、人口は増加していた。しかし、この状態が持続すれは、いずれ人口は減少に転ずる。世代間での人口の増減が0の状態で長期間持続すれは、いずれ人口の増減はなくなる。このような定常状態静止人口という。

(2)都道府県別合計特殊出生率 最近では、生産年齢人口が大きい大都市とその周辺で人口の合計特殊出生率が低く、生産年齢人口が小さい地方でその値が高い。

(3)国別合計特殊出生率 図Fに合計特殊出生率の国際比較を示す。日本の値の低さがわかる。

[杉田 稔]

死亡

医師が記載する死亡診断書の情報を厚生労働省で収集して、死亡統計が作成される。死亡診断書には死因が記載され、世界保健機関による国際疾病障害死因分類(ICD)の規則によって、原死因が決定される。原死因の定義は直接に死亡を引き起こした一連の事象の起因となった疾病または損傷である。たとえば、糖尿病に罹患した人が、その管理が不十分で心不全により死亡した場合、その原死因は心不全ではなく糖尿病である。

(1)死亡率 表4に、日本の暦年別粗死亡率と年齢調整死亡率を示す。死亡率は1950年(昭和25)からは低下傾向だが、1990年(平成2)から粗死亡率の上昇傾向が認められる。

 粗死亡率は単純に死亡数/人口で計算される。高齢者が多く若年者の少ない集団では、そうでない集団と比較して、粗死亡率が大きくなりがちである。そこで、ある年齢構成を仮定して、その状況下での死亡率を計算した値が年齢調整死亡率である。近年は人口の高齢化により粗死亡率は上昇傾向だが、衛生状態の改善により、年齢調整死亡率は低下傾向である。また、1950年(昭和25)ころは若年者が多かったから、年齢調整死亡率の方が粗死亡率より大きかった。

 図Gに、日本の1935年からの年齢階級別死亡率の年次比較を示す。ここから老年層と新生児・乳児の高死亡率がわかる。また、1935年の20歳前後の小さなピークは結核による青少年層の死亡が多かったことを示している。

 表5に、粗死亡率、年齢調整死亡率と乳児死亡率の国際比較を示す。他の先進国と比較して日本の年齢調整死亡率の低さが認められる。死亡率を計算するには分母となる人口が正確に得られていなければならない。先進国ではそのことは容易だが、開発途上国では困難なことが多い。しかし、全死亡者数に占める50歳以上の死亡者数であれば開発途上国でも入手容易である。この指標を50歳以上死亡比(PMIまたはPMR)という。

(2)死因 図H-1図H-2に、日本の暦年別性別主要死因別年齢調整死亡率を示す。これによると、以前は脳血管疾患が死因別死亡率の首位であったが、顕著に低下し、悪性新生物(上皮性癌(がん)、非上皮性がん=癌と漢字で表記する場合厳密には上皮性のもののみをさす)が1980年ころより首位となっている。また、それも低下傾向にある。なお、1935~50年は結核が首位であった。死因別年齢調整死亡率の低下はその疾病に対する対策の成果を示している。

 最近の年齢別死因別死亡率の首位は、0歳で先天奇形・変形および染色体異常、1~19歳で不慮の事故、20~39歳で自殺、40~89歳で悪性新生物、90歳~99歳で心不全、100歳以上で老衰である。

 悪性新生物、心疾患、脳血管疾患の三大疾患の年齢調整死亡率は図H-1図H-2に示されており、これらの疾患の値は低下傾向にある。これは、これらの疾病に対する諸対策が大きく間違ってはいないことを意味する。

 図I-1図I-2に、日本の性別部位別悪性新生物の年齢調整死亡率の年次推移を示す。この図から、最近の部位別悪性新生物の死亡率は、男性では肺(気管、気管支と肺)、胃、肝の順、女性では大腸、胃の順であることがわかる。死亡率の増加傾向にある部位およびまだ死亡率の高い部位の癌対策が重要である。

 欧米先進国と国際比較をすると、日本の胃癌の年齢調整死亡率は高く、虚血性心疾患では低いことが特徴である。

 外因死とは不慮の事故、自殺、他殺などをいう。図Jに示した2005年(平成17)の日本の年齢階級別外因死の全死亡に占める割合から、青少年層の外因死の多さがわかる。

 図K-1図K-2に1950年(昭和25)以降の日本の性年齢階級別自殺の死亡率の年次推移を示す。この図から、30~50歳代男性の自殺死亡率とその総数の増加が顕著であることがわかる。この背景として、バブル経済崩壊後の不景気により企業が労働分配率を低下させたこと、具体的には非正規労働者の低賃金と不安定雇用による社会格差の拡大が指摘されている。この状態の放置は日本社会が大混乱に陥るリスクとなる、と読み取れる。

[杉田 稔]

妊産婦死亡

表6に暦年別妊産婦死亡率の国際比較を示す。この表から日本の妊産婦死亡率は顕著に低下し、欧米諸国に近づいたことがわかる。しかし、依然としてヨーロッパの低率国より多少高く、1990年代後半からの下落は大きくはない。

 なお、この表では国際比較のため、分母が危険人口ではなく、また妊産婦死亡率を出生10万件当りで計算している。本来はこれを出産10万件当りで計算すべきである。ただし、出産とは、出生(生産)と死産である。

[杉田 稔]

死産

人口動態統計で死産とは、妊娠満12週以後の死児の出産をいう。また、死産を自然死産と人工死産に分ける。図Lに人口動態統計における死産と周産期死亡および母体保護法による人工妊娠中絶の可能な期間を、図Mに日本の死産率の年次推移を示す。死産率は1960年ころ以降減少傾向が認められる。なお1966年に突出があるが、これは丙午(ひのえうま)生まれの女性に対する迷信から生まれた異常な事態である。

 死産を妊娠期間でみると、妊娠初期が多い。人工死産は母体保護法により妊娠満22週未満と規定されているため、それ以後はほとんどない。自然死産は妊娠初期から妊娠週数とともに減少する。母親の年齢別死産率は25~29歳でもっとも低い。

[杉田 稔]

周産期死亡

周産期死亡とは妊娠満22週以後の死産と生後1週未満の早期新生児死亡をあわせたものである。周産期死亡率は出生と妊娠満22週以後の死産数の合計1000当りで計算される。顕著な減少がわかり、国際比較をしても日本は周産期死亡率でもっとも低い国々に属する。

[杉田 稔]

乳児死亡

乳児死亡とは生後1年未満の死亡をいう。図Nに乳児死亡率の年次推移の国際比較を示す。日本は乳児死亡率の顕著な減少により、そのもっとも低い国々に属する(表5図N)。最近の乳児死亡の原因は、先天奇形・変形および染色体異常がもっとも多い。

 乳児死亡率という指標は社会科学の面からも非常に重要である。1976年にフランスの人口学者トッドE. Toddは、ソ連における1970~74年の乳児死亡率がすこし上昇したことから、15年後のソ連崩壊を予想した。乳児死亡率は社会システムの順調さを総合的に表現するもっとも良好な指標である。日本のこの数値は1980年頃以降世界最低であるから、日本の社会・医療システムの良好性を自負できる。また、トッドは1997~99年の間にアフリカ系アメリカ人の乳児死亡率がすこし上昇したことから、アメリカの人種統合の失敗を2002年に指摘した。ちなみに、アメリカの乳児死亡率は1980年代なかば以降先進国中で最高である。

[杉田 稔]

婚姻と離婚

近年の日本では婚姻率の横ばい傾向と離婚率の上昇傾向が認められる。

 初婚の夫婦の結婚生活に入ったときの妻の年齢の上昇が顕著である。

[杉田 稔]

生命表と平均余命

生命表

生命表は世代間の人口の増減がちょうど0の定常状態である静止人口を仮定している。つまり、毎年一定の出生数と一定の年齢別死亡率の状態である。一定数の新生児が一定の年齢別死亡率のもとで年齢上昇とともに数を減少させていく表が生命表である。生命表から、ある年齢の人が平均あと何年生存できるか計算できる。この値がその年齢の平均余命である。特に、0歳の平均余命を平均寿命という。この表の計算に使用される関数を生命関数という。

 ある年のある国(地域)の年齢別死亡率が与えられると、その生命表を作成できる。厚生労働省は毎年の日本の人口動態統計から、年齢別死亡率を算出して、生命表を作成している。国勢調査実施年に関しては正確な完全生命表が、それ以外の年に関しては簡易生命表が作成される。

 ある国(地域)である暦年に生まれた集団に着目して、その世代の年齢別死亡率が与えられれば、その世代の生命表が作成されうる。これを世代生命表という。

 また、特定の疾患による死亡に着目して、その死因による年齢別死亡率あるいはその死因を除外した年齢別死亡率から、生命表を作成できる。たとえば、癌患者の治療法別予後をみる生命表、癌による死亡を完全に克服できた場合の生命表である。

[杉田 稔]

平均余命と平均寿命

図O図Pに日本の性年齢別平均余命と国別性別平均寿命の年次推移を示す。これらの図から、日本の平均余命(寿命)の顕著な上昇がわかる。とくに、図Pからは日本が最長寿国であることが判明する。図Qの生命表上で、特定年齢までの生存割合は日本の長寿化を示している。日本の平均余命(寿命)の延長の大きな原因は、衛生状態の改善による乳児死亡率低下と、脳血管疾患死亡率の低下などである。

 日本の近年の傾向として、疾患別死亡克服による平均寿命の延長が最大のものは悪性新生物である。その値は、男女それぞれ4歳と3歳程度である。

 国別平均寿命と1人当りの国内総生産(GDP)の関係を図Rに示す。これによると、1人当りのGDPが5000USドル程度までは平均寿命が上昇するが、それより大きくなっても平均寿命の上昇はない。このことは、ある程度の経済的豊かさは必須だが、それより大きな収入は健康水準の向上に無効であることを示している。

[杉田 稔]

その他の衛生統計

出生や死亡に関する統計にはその届出に遅滞、虚偽や不正確はあまりないが、疾病ではそれらのことを伴う場合が少なくない。したがって、出生や死亡以外の統計を論ずるとき、その誤差や偏りを考慮しなければならないときもすくなくない。

 疾病、健康や生活に関する統計で官庁が作成する例として、「感染症発生動向調査」「食中毒統計」「国民生活基礎調査」「患者調査」「国民健康・栄養調査」「医師・歯科医師・薬剤師調査」「衛生行政業務報告」「医療施設調査」「病院報告」「受療行動調査」「衛生行政報告例」「地域保険・老人保険事業報告」「国民医療費」「国民健康保険医療給付実態年報」「業務上疾病調べ」「学校保健統計調査」などがある。

 国民医療費の変遷を図Sに示す。これによると、その絶対額もその国民所得比も、高齢化の影響で急上昇していて、そのことが大きな政治問題になっている。

 また生活環境として、2005年には日本の上水道の普及率はほぼ100%であるのに対し、下水道では70%程度で、その乖離(かいり)が顕著である。

[杉田 稔]

『西信男・高尾総司・中山健夫監訳『不平等が健康を損なう』(2004・日本評論社)』『近藤克則著『健康格差社会―何が心と健康を蝕むのか』(2006・医学書院)』『E. ToddLa chute finale: Essai sur la décomposition de la sphére soviétique (1976,Laffont, Paris)』『E. ToddAprés l'empire: Essai sur la décomposition du systéme américain(2002,Gallimard, Paris)』『I. Kawachi, B. P. KennedyThe Health of Nations: why inequality is harmful to your health 44(2002,The New Press, New York)』


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改訂新版 世界大百科事典 「衛生統計」の意味・わかりやすい解説

衛生統計 (えいせいとうけい)

衛生学者森林太郎(鷗外)は衛生学について,〈衛生(ヒュギエーネ)トハ健人ノ外囲ニ在テ影響ヲ之ニ及ボスベキ天然ノ事物ト或ハ人ノ健康ニ欠ク可カラズ或ハ人ノ健康ヲ目的トスル装置トヲ知悉スルノ学ナリ〉と述べ,さらに〈総て衛生上の事業は,人の健康を保護して,人に長生をさせるのを目的にします〉と,この学問の性格・目的を明らかにしている。他方,衛生と保健という用語は明治期以来同義的に用いられてきているので,衛生統計はほぼ保健統計とみなしうる。したがって衛生統計は大別して,(1)人口,(2)人口動態(死産,出生,死亡,結婚,離婚など),(3)生命表(世代および簡易),(4)傷病(罹患,受療),(5)母子,(6)小児,(7)成人,(8)老人,(9)精神衛生,(10)歯科の各衛生(保健)統計に分けられ,次に,結核,伝染病,食中毒,原爆医療,難病,心身障害,その他の疾病の各種衛生統計に,さらに,(11)医療,(12)薬品,(13)生活環境(生活環境施設,食品衛生,環境衛生関係営業,建築物および家庭用品の衛生),(14)環境保全,(15)学校保健(狭義の学校保健,児童等の栄養,体格,体力),(16)労働衛生(労働災害,労働者および勤労者の健康状態,職業癌などの職業病とその労災補償),(17)気候・風土,(18)衣服,(19)都市と農村などに関する衛生統計に分類できる。以上の諸衛生統計を包括した衛生行政統計などが衛生統計の総体である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「衛生統計」の意味・わかりやすい解説

衛生統計
えいせいとうけい
health statistics; vital statistics

国民の衛生状態や健康に影響を及ぼす諸因子の実情を明らかにして,保健衛生の向上に役立てることを目的とした統計のこと。広義には人口静態統計,人口動態統計,傷病統計,医療統計などの衛生関連統計を含むが,保健所などで日常的に資料として集計されているものは,人口動態調査,医療施設調査,感染症統計,病院報告,厚生労働省報告例 (衛生関係) ,保健所運営報告などである。国や都道府県などの行政レベルの衛生統計は衛生行政施策の基礎となり,また他国と比較できる便もある。そこで種々の統計調査を実施しているが,これらは統計法により,指定統計調査および届出統計調査として規定されている。最近はコンピュータの導入により,統計資料の高度な管理や分析が行われるようになった。

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百科事典マイペディア 「衛生統計」の意味・わかりやすい解説

衛生統計【えいせいとうけい】

人口集団の健康状態に関する統計と,それに影響を与える諸要因に関する統計に大別される。前者に死亡統計(広くは人口動態統計),傷病統計,体力統計など,後者に行政機関の活動状況,医療施設,医療従事者,栄養摂取量,医薬品生産量,保健・医療費に関する統計などが含まれる。
→関連項目衛生学

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