保険事故が発生することにより,被保険者が経済上の損害を受けるおそれのある利益をいう。損害保険は損害の塡補(てんぽ)を目的としており,契約が有効に成立するためには被保険利益が存在しなければならない。商法ではこれを〈保険契約の目的〉と規定し,金銭に見積もりうる利益としている(商法630条)。したがって被保険利益は経済的利益でなければならず,精神的・感情的利益であってはならない。また被保険利益は,適法な利益でなければならず,さらに確定した利益あるいは確定しうべき利益でなければならない。このような利益であれば,家屋の所有者の利益などの積極的利益でも,火災により休業中の得べかりし利益などの消極的利益でもよい。被保険利益の種類には,所有利益(物利益),利潤利益のほかに,債権などの権利についての利益,責任利益,費用利益等がある。被保険利益の観念があることによって,同一の保険の対象について所有者の利益,抵当権者の利益というように異なった利益が存在し,それぞれ独立の保険契約の成立を認めることができる。さらに被保険利益の評価額(保険価額)により,一部保険,超過保険,重複保険などを判定することができる。
執筆者:高木 秀卓
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
損害保険制度はもともと、保険事故の発生によって生じた損害を填補(てんぽ)することを目的とするものである。損害がなかったのに保険金が支払われ、あるいは損害の額を超えて保険金が支払われるとすれば、保険事故が発生することよって被保険者は利得するから、保険は賭博(とばく)となり、また被保険者が保険金目当てに故意に保険事故を引き起こす危険も考えられる。そこで、損害保険契約が有効に成立するためには、損害を受けるおそれのある利益が存在しなければならないとされている。この利益を被保険利益という。被保険利益は積極的な利益(たとえば家屋の所有者の利益)でも、消極的な利益(たとえば家屋の賃借人の責任)でもよい。被保険利益はまた、金銭に評価できるものであって、保険金を支払うことが法令や公序良俗に違反しないものでなければならない。被保険利益を金銭に評価した額を保険価額という。
[金子卓治]
出典 自動車保険・医療保険のソニー損保損害保険用語集について 情報
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