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複葬 ふくそうsecondary disposal

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

複葬
ふくそう
secondary disposal

一度葬られた死体の身体の一部ないし全部の骨になんらかの手を加え,再び葬る葬法水葬を除くほとんどの葬法にみられる。熱帯アメリカ,インドネシア,メラネシアニュージーランドなどに数多く見出される。形式は,第1,第2段階とも土葬,第1は土葬で第2は舟葬,その逆で第1が台上葬あるいは火葬で第2は土葬などさまざまである。また第1段階と第2段階の間の期間も,数週間から 10年以上まである。分布やその文化的背景を通してみると,農耕民文化の基盤のうえに発生したものとみられる。複葬は死霊祖霊化の過程に現れた段階,死体と霊魂の区別の観念の反映,あるいは死者の死の完了過程と考えられる。複葬の他界観には,単に生と死の類別があるのではなく,生から死への連続,ないしは時間,死者の世界の時間的系譜観念の導入があるものと思われる。

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デジタル大辞泉の解説

ふく‐そう〔‐サウ〕【複葬】

再葬

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

複葬
ふくそう

埋葬・崖葬(がいそう)などの第一次の処置のあと、遺骨を取り上げて祀(まつ)る葬俗をいう。その処置は二次で終わらず、第三次の処置を伴う場合もある。遺骨を取り上げる場合に、頭部や四肢骨が重視される。頭部に霊が依存すると考える思想は広くみられる。ウノ・ハルバは、森林狩猟民の間における、動物の遺骨保存の儀礼と人の遺骨処理の間に平行現象のあることを指摘している。したがって複葬は農耕社会に限られるわけではないが、東アジアから熱帯地方の農耕社会に分布している。華北の仰韶(ぎょうしょう)文化には複葬はみられたが、竜山(りゅうざん)文化以降、その慣行はなくなる。しかし華南・台湾では、風水思想とのかかわりをもって盛行している。
 日本でも、複葬は先史・古代にさかのぼってみられた。日本民俗学でいう両墓制も複葬的葬俗である。琉球(りゅうきゅう)では、二次的処置としての洗骨後、多くは三十三年忌に墓穴の奥に遺骨を散じる。この三次の処置によって、死者は共同体の神となる。[國分直一]
『大林太良著『葬制の起源』(1965・角川書店) ▽國分直一著『シナ海諸地域の複葬』(『環シナ海民族文化考』所収・1978・慶友社)』

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世界大百科事典内の複葬の言及

【死霊】より

…その過程は生まれた赤子が親族・縁者の庇護の下に成長しおとなの仲間になるのと類似している。インドのトダ族,コタ族やアフリカ諸族に見られる二重葬(複葬)の慣行は,埋葬後一定期間をおいて改めて骨の処置を行うものだが,これは死霊を祖霊化させるための儀礼と目され,沖縄の洗骨もその例であるといえよう。日本の三十三回忌の弔い上げも死霊の祖霊化のための儀礼である。…

【洗骨】より

…死後一時的に埋葬(必ずしも地中に埋められるとはかぎらない)した死体を,一定期間を経た後に,掘り起こすなどして骨を洗い改葬する葬法。最初の死体処理を一次葬といい,改葬を二次葬,葬制の全体を複葬と呼ぶことがある。一次葬には,土葬のほか,住居のなかに安置しておく屋内葬,一時的に簡単な小屋や風よけを設けて安置する台上葬,洞窟や森に放置する風葬などが一般的であるが,まれには火葬を行う民族もある。…

【葬制】より

…これに対してミイラの作成は典型的な死体保存の方法であり,現代日本における火葬後の遺骨の安置は破壊と保存が相半ばしている例と考えることができよう。これとの関連で興味深いのは,しばしば洗骨を伴って行われるいわゆる複葬の慣習である。これは,死体は一時的に土葬・風葬などの処理を受け,その後肉体軟部の腐敗の完成を待ってあらためて骨部を保存するやり方である。…

【骨】より

…したがって,骨を扱うことは人間そのもの,少なくともその最も主要な側面を扱うこととされることが多い。世界中に広く分布している複葬と呼ばれる葬法では,遺体は肉体軟部が腐敗したのち,あらためて骨を洗い改葬を行う(洗骨)が,こうして保存される骨は死者あるいは祖先の人格を表すものと考えられている。現代日本における火葬後の遺骨保存もこれと基本的には同じものといえよう。…

※「複葬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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