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規定度 キテイド

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

規定度
きていど
normality

溶液の濃度を表す単位を規定といい、記号Nを用いる。規定度は溶液1立方デシメートル(以前はリットル)中に何グラム当量の溶質を含むかで定義される。溶液1立方デシメートル中に1グラム当量の溶質を含むとき、その溶液の濃度を1規定といい、その溶液を1規定液、あるいは単に規定液という。たとえば溶液1立方デシメートル中に水酸化ナトリウムNaOH40.00グラムを含む溶液は1規定(1Nと書く)であるという。この濃度表示は、グラム当量数を基礎とする点で容量分析などの濃度計算に便利であるため、広く用いられている。しかし一つの物質のグラム当量はいつでも一定とは限らない。たとえば、(1)過マンガン酸カリウムは、酸性溶液中で酸化剤として働くときは1モルが5規定であるが、(2)中性ないしはアルカリ性で反応するときは1モルが3規定となる。
  (1)MnO4-+8H++5e-―→Mn2++4H2O
    E°=1.51V
  (2)MnO4-+H2O+3e-―→MnO2+4OH-
    E°=0.60V
 すなわち、過マンガン酸イオンは酸性溶液中ではMn2+まで5電子還元するので1モルが5当量の酸化剤として働き、中性ないしアルカリ性ではMnO2まで3電子還元するので1モルが3当量の酸化剤となる。また炭酸ナトリウムを塩酸で滴定する場合、指示薬としてフェノールフタレインを用いると
  Na2CO3+HCl―→NaCl+NaHCO3
の反応が完結したときフェノールフタレインの赤色が無色になる。すなわち炭酸ナトリウムは一酸塩基として働く。一方、メチルオレンジを用いると
  Na2CO3+2HCl―→2NaCl+CO2+H2O
の反応が完結したときメチルオレンジは黄色から赤色に変わるので、二酸塩基として働く。これらの例のように、関与する化学反応が違ったり、指示薬の選択の違いによって検出段階が違うと、同じモル濃度の溶液でも規定度が違うことになるので、濃度の単位として規定度を用いる場合は、以上のことを十分考慮する必要がある。しかし指示薬を適当に選択することにより、水酸化ナトリウム中に含まれる炭酸ナトリウムの量を測定して水酸化ナトリウムの純度を調べたりするのに応用される。すなわち水酸化ナトリウムは空気中で二酸化炭素CO2を吸収すると、
  2NaOH+CO2―→Na2CO3+H2O
の反応で炭酸ナトリウムが生成するので、指示薬にフェノールフタレインとメチルオレンジを使って滴定することにより両者を定量することができる。[成澤芳男]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例

世界大百科事典内の規定度の言及

【規定】より

…溶液濃度の表し方の一つで,容量分析(たとえば,中和滴定や酸化還元滴定)などでよく用いられる。1グラム当量の溶質が溶液1l(1dm3)中に溶けているとき,この溶液の規定度(または当量濃度)が1規定であると定義する。記号N。…

※「規定度」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

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